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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第1章-Page3
 奥から「いらっしゃーい」という声がした。結香ゆうかさんだ。
 結香さんというのは桃香のお母さんで、子供の頃はおばちゃんと呼んでいたんだが、中二くらいのときにおばさんと言うようになったら、名前で呼ぶように言われ、それ以来結香さんになっている。おばちゃんとおばさんでは、おじちゃんとおっさんくらい違うのだとか。おじちゃんとおじさんじゃないところに女心が表れているのかも知れない。
 ダイニングに行ってテーブルに着くが、週に最低二回は来ているから席も決まっている。
「今日は神作くんの好きな唐揚げよ、いっぱい食べてね」
 結香さんは山盛りの唐揚げが載った大皿をどんとテーブルに置きながら言った。
 結香さんは優しく、しかも美人で、桃香と一緒に出かけたりするとお姉さんと間違われるくらい若く見える。永遠の17歳って言うとオーバーだが、23歳くらいならアリだ。もし、桃香の半分が優しさでできているとするなら、それは結香さんの遺伝子のことだと断言していい。
「私も揚げるの手伝ったんだからねっ」
 桃香はツンデレ風なことを言ってきたが、だから何だというのだろう。ただ、ここで追い出されるわけにはいかない。
「そうか、美味そうに揚がってるな」
 オレなりの処世術である。
「はい、ご飯もどうぞ。神作くん、明日の準備はできた?」
「ばっちりです。高校入学っていっても、ただの儀式ですし」
 明日は高等部の入学式だが、中高一貫なので感慨などほとんどない。
 それより唐揚げだ。
「「「「いただきまぁす」」」」
 さっそく、唐揚げをひと口……美味い!
 外はカリっとしてスパイシーな芳香を放ち、妙な鳥臭さや脂臭さは少しもない。噛むと肉汁が溢れ、適度な弾力もあって歯応えがなんとも楽しい。揚げているのにしつこさはまったくなく、いくらでも食べられる。って考えてしまうのは、やはり小説を書いてばかりいるからだろう。普通にそんなことを考えながら食べている人がいたら、多分何らかの病気である。
 にしても、何で唐揚げってこんなに美味いんだろうか。鶏さんありがとう。
 これって実はうちの母さんのと同じだったりするから、慣れ親しんだ味でもある。というか、うちとレシピの共有度がめちゃめちゃ高いので、お呼ばれしても母さんの料理を食べるのと大差なかったりする。それだけ母親同士も仲が良かったということだろう。……間違えた。母親同士が仲良かった、である。『も』だとオレと桃香も仲いいみたいに思われてしまうかもしれないからな。
 などと脳内推敲しながら唐揚げを食べ続けるオレに、缶ビールを飲みながらしんみりと結香さんが言ってきた。ちょっとアルコールが回ったのか、艶っぽさが増している。
「何かあれよね、おばちゃんて言ってベタベタくっついてきてたシンちゃんが、もう高校生でしかも敬語で話してくるなんて、男の子って、段々と大人になって離れていっちゃうのね」
「いや、娘だって同じでしょ」
「桃香はいいのよ、全然変わらないし、まだまだ子供だし。神作くん、桃香を大人にしてやってくれる?」
「ちょっ、ママッ!」
「いや、まだ死にたくないですから。んなことしたら親父さんに殺されますから」
 冗談なんかじゃなくて、かなりマジにそう思う。
「ねぇ、お兄ちゃん、何で桃香お姉ちゃんが大人になるとおじちゃんに殺されんの?」
「子供は分からなくていいから」
「子供じゃないよ、彩萌はもう中二だもん」
「彩萌ちゃんはまだ子供でいてね」
 結香さんは彩萌にそう言うと、またオレをじっと見て、とんでもないことを言ってきた。
「桃香は新作くんが大好きなのよ、神作くんは桃香をどう思ってるの?」
「やめてよ、神作のことを好きになるなんてストレプトコッカス・ミュータンスだけよっ」
「オレの相手は虫歯菌か! しかもボケが言いにくくて長げぇよ!」
 などという、いつもの会話の中、唐揚げを平らげていった。
 食事を終えてしばらく話していると風呂に入っていけと結香さんに言われるが、丁重にお断りして、家に戻って入る。彩萌が先なのは風呂掃除とお湯溜めをしたご褒美だ。
 風呂が空くのを待つ間、オレは資料に目を通す。一般人がイメージビデオと呼ぶやつだな。世の中には成人向けだの無修正だのというものがあるが、見えないものを想像するところに最大のエロがあり、それは現実よりもエロいことを理解すべきだろう。小説がまさにそれだ。
 つまり、そのモノがはっきり見えたとしたとしても現実を越えることはありえないのだが、想像は無限大であり、男子中高生の想像力もまた無限なのだ。
 ゆえに、想像は現実を遥かに凌駕りょうがする!
 まあ、はっきり写ったのは見たくない、と言うと嘘になるが。
 これは友人の江口えぐち大央ひろお、通称エロ大王から借りたものである。うん、さすがはエロ大王今月のお勧め作品だな。
 オレと江口と、もうひとり阿波ってのが仲良くて、中等部では三人とも映像研究部だった。高等部だと映画研究部というのがあるらしいんだが、ちょっと毛色が違うようなことを聞いている。だから部活をどうするかまだ未定で、オレは小説を書くようなところに入りたいとも思っているんだが、ふたりと離れるのも寂しいし、真面目な活動ばっかりってところには入りたくないし、というのが現状である。
 彩萌が風呂を出た音がしたので、ディスクを取り出してケースに仕舞い風呂に向かった。
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