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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第3章-Page30
「あの、お兄さま、一人称でも『その時僕はまだそれを知らなかった』などと書けますが」
「あぁ、けどそれだと事の結末を知っている僕ってのがいることになるよな。つまり、物語の登場人物の僕と書き手の僕がいるわけだ。一人称で書いているけど客観的な視点も持っているということになって、結果的には三人称主観視点と同じなんだよ。しかも、現時点の出来事じゃなくて現在の僕というのから見た回想になるから、作品全体をどうするか考えてから使わないといけなくなると思う」
「面倒っスね」
「面倒っすよ。マンガやアニメのカメラは基本的に神の視点で、でも時には主観視点にもできるし、しかも色んな人にどんどん視点が変わってもいいから、凄く自由に表現できるんだ。小説だと主人公を好きな女の子が何人もいるとして、それぞれがどう主人公を思っているかを独白させるには三人称にするか、女の子それぞれの一人称パートを作るかしかないということだな。まあ、主人公の一人称でも女の子の言動で匂わせたり、独り言を言わせて『何でもない』とかって手もあるから表現できなくはないけどな」
「ラノベはあんま読まへんけど、どっちが多いん?」
「一人称が多いと思う。たださ、書いてて思うんだけど、一人称で色々と細かく描写するのって変だよな。客観視点でならいくらでも書けるけど、主人公が見たり感じたことを書くんだからさ。例えば、ドラゴンとの戦闘シーンだとすると、『ドラゴンが現れた、でけぇ!』ならいいけど、『ドラゴンが現れた、その表皮はごつごつとしていて赤く、ところどころに焼け焦げや傷痕があって、目は爛々と金色に光り、口からは炎がちらちらと見え隠れしている。しかもでけぇし』とか書いてたらその間にドラゴンにやられるんじゃないかって思うわけだ。そんなん見てないですぐに戦えよって」
 日曜朝の子供向け番組の変身シーンもそうだよな、5人が順に変身するまでずっと待っててくれる敵ってどうよ。
「ならば三人称客観視点がよいのでござるか?」
「それもさ、阿波に分かり易い例でいうなら、ヒロインのおっぱいを揉むとするだろ? その場合、一人称の方が細かく直截的に感じたことを書けるわけだ。客観的にだと『胸に触れたその時、主人公は柔らかいと感じた』とかだけど、一人称や主観視点だと『おっぱい、触っちゃっていいんだよな? よし、触る、ぞ……柔らけぇ! 手に吸い付くみたいだし、それにこの弾力が凄え気持ちいい! しかも、何だ? 掌を刺激してくるこの物体は?』とか、まだ続けられるけどここで自粛な。こういう風に書けるんだよ」
「拙者は後の方を支持するでござる」
「うむ、言うまでもないな、ワレもだ」
「あんたらは、結局エロか!」
 言音の怒りが爆発した。多分、胸がないからオレの例文が気に入らなかったのだろう。
「と、まあ、色々なことを踏まえて、一人称か三人称か、どんな視点で書くかってのが大問題なわけよ。大事なのでもう一度言うけど、視点を変えるなら節とか章を変えて、誰の視点になったかはっきりさせておくこと。段落を変えたくらいじゃダメな。読者は視点の人物に感情移入するのが普通だから、変えすぎると分かりにくく感情移入もしにくくなることも理解した上で、効果があるなら変えてもいい。けど、書きにくいから変えたいとかならやっちゃダメだ。そこは工夫するしかない。と、こんなもんかな」
「そんなところね。思ったより長くなっちゃたけど、今日の発表と今までの説明で書けるようなら少し書いてみましょ。じゃ、今日はこれで解散よ」
 
 翌日の部活からは小説を書くことも始まった。
 桃香を見ると、おい、それっていつの書き方だ?
「なあ、桃香、何で会話の最後に丸が付いてんだ?」
「え? こう習ったよねっ、小学校で」
 ちゃんと覚えてると当然そうなるよな。
「そう、小学校ではな。昔の『くぎり記号の使ひ方』っていうのがまだ生きてて、カギ括弧の中の終わりにも読点を書けってしっかり指定されてるんだ。けど、ラノベでは書かない、というか書いちゃダメだ」
「そうなのっ? 学校と違うんだねっ」
「ああ、違うんだ」
「他にもあるのっ?」
「そうだな、ちょっとまとめといてやるよ」
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