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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第3章-Page34
 金曜になった。
 先週できなかったアニメ上映をして、批評や感想を言い合って部活は終わり、その帰り道のことである。
「そうだ、神作、明日は行けないからねっ。ママとお出かけするからっ」
「そうか、どこ行くんだ?」
「ママと普通に買い物よっ。神作も行きたい?」
「ん、そうだな、あ、忘れるとこだった、オレ明日は江口たちと遊ぶ約束してたんだ」
「そっか、残念ねっ」
 よし、自然だ。
 その後も、いつもの通りの桃香で、翌日は本当に来なかった。
 出かける支度を済ませ、テレビを観ながら待っていると十時少し前に円美が迎えに来た。お嬢さまっぽい私服だったから、黙っていると結構可愛いじゃないかと思ってしまう。
 その向こう、道に留まっている車は高そうな黒塗りだった。
「ちっス、迎えにきたっスよ」
「おはよ、お前んちってもしかして金持ちだったりするか?」
「ぜんぜんっス。あれもうちのじゃないっスから」
「そうか、ちょっと待っててくれ」
 彩萌に出かけること昼飯もいらないことを告げて、家を出た。
 車に乗ると、対面座席の向こう側に既に江口が乗っていた。
「おす、江口」
「ああ、おはよう都筑、ワレは少しばかり不安になっておるのだが」
「何かあったのか?」
「車のナンバーが……いや、よそう、そのうち分かることだからな」
 しばらく走ると、高い塀に囲まれた建物に車が入っていった。ここって?
「なあ、円美、ここってどこ?」
「アレシタッス王国の大使館っスよ」
「聞いたことがないのだが?」
「ヨーロッパにある小国っスよ」
 車から降りると、敷地内の小さい方の建物に案内された。
「ここがあーしが住んでるところっス」
「お前ってどういう関係でこんなとこに住んでるんだ?」
「あーしの本名はマルミ=エダ・ド・アレシタッスっていうんス」
「お前、外国人だったのか!」
「あれ? 知らなかったっスか? 部長サンと同じでハーフっスけど、国籍は向こうっス」
「って留学?」
「そうっス。国王になる前にどうしても父の祖国である日本のアニメに触れたくて、中学から来てるっス」
「国王……?」
 オレはびっくりし過ぎて言葉が出なくなっていた。
「そうっスよ、まだちょっと先なんスけど、あーしが国王になることが決まってるっス。皇太子なんスよ」
「すげぇ……」
「なるほどの、それで言葉使いが少しばかり妙だったのだな」
 江口に言われてれば世話ない。
「そうなんスよ。日本語の語尾が『です』だったりするみたいに、アレシタッス語は『ッス』がよく出てくるんスよ。そのせいで日本語を話しても語尾が『ッス』ってなっちゃうんス」
「ってことは、頑張れば普通にも話せるのか?」
「ムリしてキャラを作れば何とかなるっス。んっん、さあ、みなさん、こちらへどうぞ、始める前にお茶にいたしましょう」
 見た目と喋り方が一致した途端、仕草まで変わって見えるものなのだと知った。なんつぅか、女って怖ぇな。
 円美がお茶を淹れてくれているが、アレシタッス王国皇太子が淹れたお茶だと思うと、何かすげぇ。日本茶でも紅茶でもない、不思議な香りだが、多分怪しいものじゃないだろう。
「アレシタッス茶ですわ、お口に合えばよろしいのですが」
「あ、はい、いただきます」
 思わず敬語になってしまった。
「うむ。いただくとしよう」
 独特の風味があるが、マズくはなかった。何かの薬草が混ぜてあるのだろうか。
「あの、都筑サン、これマジ疲れるんでやめてもいっスか?」
「そうしてくれ、何かオレも疲れるから」
 円美が元の口調に戻ると、何か安心するというか、緊張しなくなるな。
「で、資料のビデオ撮影なんスけど、服のしわとか動きなんかも見たいんで、衣装に着替えてもらいたいんスけど?」
「いいけど、変なのは勘弁してくれよ」
「全然普通っスよ」
「ワレも普通であろうな」
「全然違和感ないやつっス」
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