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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第3章-Page36
「カーット!」
 江口、カットだぞ、と言いたいのだが、唇はまだくっついたままなので喋れない。
 江口はやっと離れると、とんでもないことを言った。
「神作ぅ、これってボクの、ファースト……キス、なんだからね」
 オレとしてはノーカウントなんだが、そんなことより江口の口調が戻っていない。
「江口、カットだって、本番中じゃないぞ!」
「イヤ! 江口じゃなくって、大央って呼んでよぉ、神作ぅ」
 父さん、オレは今、猛烈に混乱している。
「江口、しっかりしろ、お前は男だ!」
「そんなの知ってるよぉ、でもボク、神作のことがこんなに好きだなんて、今まで気づかなかった。仲のいい友達くらいにしか思ってなかったから」
「それで十分だ! それ以上に何があるっていうんだ」
「いやぁ、こりゃ完全に目覚めたっスね。『ワレ覚醒セリ!』っス」
 ワレ覚醒セリだけ口調を変える円美である。
「ふざけんな! どうすんだよ、これ」
「うちの国じゃ普通っスよ。男っぽい女と、女っぽい男なんて。あーしに言わせれば、世界中が逆なんスよ。なんなら、あーしの后に迎えたいくらいっス」
 とはいえ、このまま撮影を続けたら何が起きるか分からない。エロ大王の脳内には、そういうシーンしかないのだから。
 身の危険を感じたオレの提案で、ちょっと早いが昼食にすることになった。
 テーブルを挟んだオレの向かいには江口と円美が並んでいて、キャッキャと話をしている姿は女の子同士にしか見えない。
 この日、江口は結局元に戻らず、危なくならないシーンだけ撮影した。こんなことなら、桃香を連れて来れば良かったのにと後悔する。
 帰りの車で江口はオレの隣に座って来るし、オレが降りる時にはにっこり笑って手を振っていて、油断したらキスされるのではと思ったくらいだ。あのまま帰ったら家族とかびっくりするんじゃないだろうか。
 重い足取りで自室に入ると、桃香と彩萌がいた。
「お前ら、ここで何してんだ?」
「お帰り、お兄ちゃん、ここの方がアイデアが浮かんでくるから」
「神作、お帰りっ。楽しかったっ?」
「いや、大変なことになった」
「何かあったのっ?」
「ああ、あった」
 ふたりに事の次第を話すと、桃香の表情は曇り、彩萌の目はきらきらと輝いた。しまった、また腐らせてしまったか。
「やっぱ、お兄ちゃん×江口っちゃんだったか」
 うんうん、と頷いている彩萌である。
「お前、腐女子やめたんじゃなかったのか?」
「そうだよ、でも男の娘はアリじゃん」
「オレ的にはナシじゃないと困るんだよ、親友だと思ってたんだぞ?」
「神作は大丈夫、私が守るものっ」
「桃香、江口に危害だけは加えるなよ!」
 すると桃香は、「よし、分かった」と、左手のパーを右手のグーで叩いて言った。
「だったらさっ、江口と阿波をくっつけるってどう?」
「オレは阿波まで失うのかよ、江口を元に戻すって考えはないのか?」
 その後、色々な案を出して検討したのだが、それでオレはひとつの真理を知った。
 アホが考えてもアホな答えしか出ない。
 結局、日曜が冷却期間になって江口が元に戻ってくれることを祈るしかなかった。
 
 危惧していた江口からのメールも電話もなく、無事に日曜の朝を迎えられた。
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