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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第3章-Page38
 桃香に連れられ、表玄関ではなく裏に回ると、インターフォンで雪華を呼び出した。
「あ、ふたりともありがとうな」
「なあ、雪華ってここの娘なのか?」
「せやよ、ひとり娘やねん、お婿さん絶賛募集中や」
 何か、引っかかる。どこか違和感を感じるのだが、それが何なのかは分からなかった。
 雪華に促され中に入ると、従業員入り口になっているらしく下駄箱が並んでいた。なんだ、釜焚き場じゃないのか。
 廊下を進んで階段を上り、向かったのは雪華の部屋である。マンガが多い本棚とトレース台があるのがマンガを描いてるって感じの部屋で、あまり女の子っぽさはなかった。
 なぜか円美がいる。
「あ、都筑サン、昨日はどうもっス」
「お前も手伝いに来てたのか」
「あーしなんかじゃ猫の手にも劣るんスけど、これも勉強になるかも知れないっスから」
「で、手伝いやねんけど、Gペンで絵ぇ描いたり、ベタフラ、トーンフラできる人いてる?」
「セッカ、日本語でお願い」
「あーしは、アレシタッス語でも大丈夫っス」
「何言ってんだお前ら? 雪華、オレたちは描けないって最初から言ってるだろ。ベタフラッシュ、トーンフラッシュは前にちょっと練習したから、下手でいいならできなくはないが」
 カブラペンならまだしも、Gペンはオレにはキツい。
「お、ってことは都筑はちょっとイケそうやね、じゃあ、チーフアシ決定やな」
「何でもいいから、早くやって終わらそうぜ、何ページ残ってるんだ?」
「四ページやねんけど時間がキツいんよ」
「入稿の最終は何時だ?」
「四時までがぎりぎり、印刷屋のおっちゃんが今日やったら破格でやってくれる約束やねんけど、月曜なら正規料金やていけず言うてんねん」
「来週じゃだめなのか?」
「今日だけ暇やからって、けど、何でラノベ班の都筑がそんな詳しいねん」
「漫画家に憧れた時期もあったんだよ、悪いか」
「悪ない、助かるわ」
 雪華が下書きとペン入れをして、背景も入れるが、それほど複雑な背景はない。
 円美が消しゴム、桃香がベタで、オレはトーン貼りと削りだ。
 エロマンガだから、液状の何かやゲル状の何かがフィーチャーされていた。絵は結構上手くていわゆる萌え絵で、デッサンの狂いはない。絵師としてイケるんじゃないだろうか。
「な、何、これ!」
「どうした、桃香」
「こ、これって何?」
「まあ普通に十八禁なんじゃないか? 十八禁は十八歳未満に売ってはダメっていう規制だから、十八歳未満が描いちゃダメってことじゃないし」
 違うかもしれないけど。
「っていうか、何でモロなのっ!」
「普通、マンガは全部描いて、印刷時に修正するんだよ、原稿に直接修正はしないんだ」
 そんなこんなで作業は進み、割りと順調に進んでいるので、昼飯を食おうということになった。雪華が電話すると、ほどなく弁当を届けられたんだが、旅館の昼食に出している松花堂弁当だという。美味そうだ。
 どこにでもある松花堂弁当というのは、松花堂が始めた弁当が普及した、のではない。松花堂昭乗という、安土桃山末期から江戸初期に生きた、京都は石清水八幡宮の僧がいた。その人が仕切りを付けた箱を作って小物なんかを入れたんだそうだ。それからずっと後、なんと昭和になってから、これを入れ物にした弁当が作られ松花堂弁当と名付けられたのである。
 料理はいかにも温泉旅館という感じで、マグロ赤身とブリのお造り、エビ、しいたけ、白キス、大葉の天ぷら、根菜とイカの煮物、鶏の照り焼き、それにキュウリとカブのお新香があり、ご飯はちらし寿司で、黄色い錦糸玉子と赤いはじかみ、中央には三つ葉の緑が美しい彩りとなっていた。
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