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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第3章-Page39
「これ美味いな! 来て良かったぁ」
「食いしん坊さんやな、都筑は」
「これじゃ足りないよねっ、はい、あげる」
 照り焼きひとつと、ちらし寿司半分くらいもらった。
「お、サンキュ、桃香」
「仲いいっスね、口付けたとか箸がどうとか関係ないんスか」
「まったく関係ないな、いつものことだし」
「もう夫婦みたいやねんな」
「いや、仲のいい姉弟ってとこだけどな」
「キスとかしてんのん?」
 危なっ、もうちょっとで吹き出すとこだった。
「するか、んなもん」
「じゃ、昨日のがファーストキスっスか?」
 何気ない一言が、空気を凍らせることがある。今、まさにオレの周りは絶対零度であった。
「何……のこと……」
 地獄の王、なぜかそんな言葉が脳裏に浮かぶ。
「ち、違うぞ、桃香、キスって江口にやられたんだからな、ノーカンだから」
「え? 何だ、江口か、ならまあいいけどっ」
「そうだぞ、それにオレのファーストキスは桃香だからな」
「やっぱしてんやんか」
「大人っス、きっとふたりとも大人っス」
「違うわよ、五歳のときよ! それって。神作はそれをずぅっとファーストキスだって言ってるんだから」
「だってそうじゃないか」
「はいはい、終わり、終わり。ほんまごちそうさんやで」
「マジごちそうさまっス」
 食事を続け、本当のごちそうさまをすると、また作業に戻った。
 その後も順調で、三時にはできあがり、雪華は届けに行って来るという。
「時間、まだあるやろ? 温泉入って行き、ええお湯やよ」
「ああ、そりゃいいな!」
「何かお弁当いただいて、温泉もって悪いわね」
「かまへんて、時給にしたらまだ足らへんくらいやし」
 ということで、温泉である。オレは男湯へ、桃香たちは女湯へ入っていく。
 Hな温泉イベントなど、現実にはそう起きないのである。
 時間が中途半端なので他に誰もいなかった。廊下のポスターに、日帰り客は三時まで、泊り客のチェックインは四時からと書いてあったから、そのせいだろう。
 全部脱いでタオルだけを持って浴室に入っていくと、温泉は岩風呂になっていて、狛犬かシーサーかという石像の口からお湯が出ている。
 温泉に浸かると何とも心地よい。美味いもん食って温泉に入るって最高だな。
 ふと、『⇒露天風呂へ』という文字が目についた。その下に何か書かれていたようだが、かすれていて読めない。もちろん、行ってみる。
 高台にある温泉なので、前面に囲いがない実に開放的な露天風呂だった。入ってみると、ちょっとぬる目だが、ゆっくり入るにはちょうどいいかもしれない。
 と、声がしたので振り返ると、やつらがいた。
 小さいタオルで胸を隠した桃香と、何を勘違いしたのか、タオルをねじり鉢巻きにした手ぶらの円美だ。手ぶらって何も持ってない意味で、胸はまったく隠してない。というか、下も。
「お、お前ら、男湯だぞ、ここ」
「女湯よ! 何してんのよっ!」
「あ、分かったっス、きっと混浴っスよ、看板にそんなこと書いてあったっスから」
「ちょっとマルミ、そんなこと平然と言ってないで、隠しなさい!」
「え、言っちゃダメだったっスか? 混浴って秘密なんスか?」
「違うわよ、胸とか、あ、そことか、神作が見てるじゃない」
「見てないわい!」
「別に見られても減るもんじゃないっスけどね」
「いいから、お湯に入って、すぐに!」
 ああ、こいつらアホなんだなぁと改めて思った。隠す隠さないとか、お湯に入る入らないじゃないだろう。普通は逃げるよな。
 で、少し離れたところで、警戒しながらお湯に浸かっているふたりである。
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