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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第4章-Page47
「期待しないで見てあげるわ」
 椅子のまま移動してきて、パソコンを覗き込んだ。
「そうね、トリックとしてはいいわ、けどボツね」
「何でだよ」
「だって、電子ロックだもの、ホテルだから。でもオートロックじゃないからトリック作るのが大変なんじゃない」
「そういうのは先に言え! ていうか、何でわざわざオートロックじゃないんだよ」
「オートロックだと鍵がなくてもロックされて、密室殺人にならないからよ」
「じゃあ、電子ロックじゃなくて、普通の鍵にしろよ」
「だめよ、そういう設定なんだから」
「だったら設定から見直せ」
「これがキーポイントなの! これだけは譲れないわ」
 だったら設定やこれまで書いたのを見せろと言ったのだが、拒否されるだけだった。そんなんでちゃんとしたトリックなんか作れるわけがない。
 その後は、まったく無意味な時間が流れていく。
「じゃあ、宿題だから。忘れたら一生消えない傷を心に刻んであげるんだからね」
 その時、オレは予感めいたものを感じた。こりゃ誰もやって来ねぇな、と。
 
 人には真面目な人からそうでない人までいて、桃香は前者、オレは後者に分類されると思われる。まあ、不真面目とまでは行かないと思ってもいるのだが。
 だから、桃香は宿題だと言われると、それをなんとかやろうとする。ただ、残念なことに、その能力はないんだが。
 で、土曜の午前である。
「ねぇ、ちょっと付き合ってよっ」
「またか、もしかして本屋か?」
「そう、トリックとか調べようと思って」
「いいけど、本に書いてあるのをそのまま書くなよ。トリックだけ参考にするのは盗作にはならないらしいけど」
 あんまり似ていると訴えられることもあるらしいが、トリックそのものに著作権はないという考え方が主流なのだ。著作権は表現方法が保護対象であり、アイディアは対象ではないとされているのである。ちなみに、タイトルや名称なども保護されないので、商標登録して保護したりする。
 昔のトリックは結構いい加減なものもあるが、科学捜査のレベルが違うのだから、トリック自体も変化するのは当然だろう。指紋が証拠とされるようになって百年と少し、DNA鑑定はまだ数十年でしかない。
 オレの提案で最初から古本屋で探すことにした。以前行ったチェーン店のではなく、昔からある方だが、そっちの方が珍しい本などの掘り出し物に出会えるような気がしたからだ。
 ずっと前は奥にレジがあったのだが、万引きをする者もいるからと、出入り口を一ヶ所にして、レジはその出入り口の横に移されている。
「こんなとこに参考になる本があるのっ?」
「あるかもしれない。江戸川乱歩先生のとかってこっちの店の方がありそうだからな」
「それが目当てなのっ?」
「オレも読んだことないんだけど、トリックとかまとめてあるのがあるらしいんだ。他のでもいいから、トリックがいっぱい載ってそうなのを探せ」
「分かった」
 ということで捜索開始だ。
 お、これなんていいんじゃないか? 宇能先生のだ。どれどれ?
「ねぇ、何してんのっ?」
「本を探してるんじゃないか」
「それが目的の本なわけっ?」
「さあ、どうかな?」
「トリックの本を探してっ!」
「はい」
 くそ、何で同じ棚を探すんだ桃香は。これじゃひとりで探してるのと同じじゃないか。
「お前は向こうの棚を探せよ、同じところをふたりで探してたんじゃ意味ないだろ」
「あ、それもそうねっ」
 やっと行ったな。とはいえ、今は目的の本を探すとするか。
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