印My Original Work Light-novels
Since 2013-12-01
Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
コアラブ!-第4章-Page49
 話を聞き終わる頃、凶器が発見された。被害者のすぐ傍の棚に入っていたという。
 凶器のナイフは一冊の厚い大きな本をくり抜いて垂直に固定されていて、本を開くとナイフが突き出たようになり、そのまま刺せば、返り血も本で防げるようになってるものだった。
 売り物であったことは店主が調べて分かったが、盗んで加工してから持ち込まれた可能性が高いと思われ、指紋等は何も発見されなかった。
 話が終わるのを待っていた桃香から着替えを受け取り、店主がシャワーを使っていいというので、汚れないようにと店の奥で服を脱いで下着姿になってから自宅の方にあがらせてもらった。
 シャワーで体を洗い流していると、さっきの光景が目に浮かんでくる。
 被害者の倒れた姿や顔、胸骨圧迫していた時の様子、それにダイイングメッセージ……
 オレ金マ玉小――そうか、犯人が分かったぞ!
 服を着て出ていくと血の付いた服はなくなっていた。証拠品にでもされたのだろうか。
「任意ですが、もう少しここにいていただけますか、もう少し聞きたいこともありますから」
 親父さんの声が聞こえた。そっちに向かうと、親父さんはオレに気づき言ってきた。
「お前の服は桃香がコインランドリーに洗いに行った。それと朗報だ、お前の心臓マッサージが良かったらしくてな、被害者は一命を取り留めたそうだ。まだ意識が戻るか、後遺症がどうなるかは分からないらしいが、とりあえずはお手柄だぞ」
「よ、良かったぁ」
「さて、みなさん、被害者の意識が戻れば犯人はすぐに割れる、潔く名乗り出てもらいたいものですが」
 親父さんはそう言って三人を見るが、誰も名乗り出ることはなかった。
「あの、親父さん、オレ、犯人分かっちゃったんですけど」
「何っ! 本当か!」
「言っていいですか?」
 ほら、アレだよ、アレ。一度言ってみたいじゃん。被害者も助かったって言うんだから、少しくらいいいよな。
「ああ、言っていいぞ」
「じゃ、遠慮なく」
 オレは深呼吸すると、やや大きめの声で言った。
 
「犯人は、お前だ!」
 
 びしっと指さすオレ、よし決まった!
 被害者が死亡していないこと、オレから犯人と断定されたこともあって、稲本さんが、いや稲本容疑者は自供したため、緊急逮捕され連行されていった。
「なぜ稲本が犯人だと分かった」
「ダイイングメッセージです。いや死ななかったからニアリーダイイングメッセージかな」
「あの『オレ金マ玉小』か、どういう意味なんだ?」
「『魔王少女と金もない俺』という作品があるんですよ、略称が『ともない』で、『俺金魔王少女』と逆に書こうとしてあったから、その逆で『いなもと』だと分かりました」
「よくそんなことを被害者は咄嗟に書けたな」
「多分、あらかじめ考えてたんでしょう、推理小説が好きで色々トリック考えたり自分もちょっとは書くとか言ってましたから。でも最近は『ともない』も読んでるとか」
「お前、被害者と顔見知りだったのか」
「オレだって常連ですよ、学生とかだと大きな古本屋チェーンの方に行くから、この店に中学生が来るのは珍しいって、向こうから話しかけられました」
「何でそれを先に言わなかった」
「聞かれなかったのと、ちょっと、アガサ・クリスティー風もいいかなと思って」
Page50 < 次  印  前 > Page48

【お願い】

 表示が崩れる、動作がおかしいなどの場合は、リロードしてください。


【ご利用のヒント】

フォントについて