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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第5章-Page54
「お待たせっ、神作」
 桃香が出て来たが、ちょっとお洒落してるし。
「おう、お、その服初めて見たな」
「よく分かったわねっ、どう?」
「すっごく可愛いよ、似合ってる」
 女の子を褒めるときは思っていることの五割増しくらいがいいと思う。
「そう? ありがと」
 そうすると機嫌が良くなるわけだ。褒めてもけなしても、結局自分に跳ね返るからな。
「よく親父さん、合宿なんて許可してくれたよな」
「神作が、絶対にオレが守るから大丈夫ですなんて言ったからだよっ」
「ダメだって言われたら、桃香が寂しいと思ってさ、けど嘘じゃないからな」
「だったら空手やろうよ、鍛えるのはいいことだよっ」
「指を怪我したくないからやれない。タイプできなくなると困るから」
 などと、しばらく話していると黒塗りの車がやって来た。
 ドアを開くと、いつもの何倍か可愛くなった美少女がふたりいた。制服ではないこともあるが、化粧もしていたからだ。
「どうしたの? 早く乗れば」
「お、おう」
 乗り込んで、オレは言音の隣、桃香はオレの正面で言理の隣に座った。いつもは石鹸の香りがする言音だが、今日は香水のようなものを着けているみたいだ。フランスについこの前までいたんだから、そういうのも当然なのかもしれない。
 それで思い出したが、服は着るし、香水は着ける。どっちも『着』で『まとう』でも通じるが、英語でも同じ『wear』で、マリリン・モンローの『寝るときはシャネルの五番』というのも、実は『寝るときは何を着けるか』と聞かれ、服装ではなく香水を答えた洒落だった。ちなみに、原文は『What do I wear in bed? Why, Chanel No.5, of course』である。
「何よ、ぼーっとして?」
「いや、シャネルの五番のことを考えてた」
「これは、シャネルじゃないわ」
「オレ、香水なんて知らないよ、ただいい香りだなとは思ったけど」
「お兄さま、私のはいかがですか?」
「ああ、言理のもいい香りだ」
「神作、私はっ?」
「どれ、なんか柔軟剤みたいな匂いだな」
「ほら、擦ると香りが変わるからってバカ! 柔軟剤じゃないわよっ」
 乗りツッコミか、腕を上げたな、桃香。
 しばらく走って沢井旅館に到着した。バスよりずっと早いな。
 他のメンバーは既にいて、雪華も一緒に待っている。
「おはよう、みんな揃ってるわね、じゃあ幽霊屋敷に突撃よ!」
 車を降りるとポーズを決めて言音はそう宣言した。
 こっちやという雪華に連れられ、建物の裏の方へ回ると、鬱蒼うっそうと生い茂る木々の中にその建物はあった。
「ここやけど、二部屋あるから女子と男子で別々な」
 手前の大きな部屋の方へ女子が、廊下の奥の小さな部屋の方へ男子三人が入った。
「江口、お前男の方でいいのかよ」
「ワレが男で何か問題でもあるのか?」
 あれ? 男のときの口調だな。
「いや、ない、けどさ」
「男同士で寝泊まりし、男同士で温泉に入ろうではないか、都筑よ」
「戻ったのでござるか、江口氏ぃ!」
 んなことで泣くな、阿波。よっぽど無視されてたのが寂しかったんだな。
「うむ。これまでの成果を今宵とくと見せようではないか」
「けど、ここはテレビもないだぞ」
「案ずるでない、ポータブルプレイヤーを持って来ておる」
「おおっ、本当に江口氏でござる、昔の江口氏でござるよ」
 眼鏡を外して、腕で止めどなく流れる涙を拭く阿波だった。号泣かよ。
「あんたらうるさいわね、音とか筒抜けなの分かってる?」
 部屋のフスマを開けて言音が言った。
 中、繋がってんのか!
「それから江口、あんたこっちよ」
「ワレは男である、何を言っておるのだ」
「そう。……じゃあ、男子から先に温泉に入ってきて」
「今から? いいのか?」
「ええ、そこで江口が男だと確認できたら、そっちの部屋でいいわ」
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