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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第5章-Page57
 全員が陰から見守る中、堂々と入って行く阿波である。
「あのバカ、何で前を隠さないのよ」
「あいつは漢だからな」
 十五分経っても何も出ないので、阿波に引き上げ命令が出された。
「次は神作よ」
「分かったよ、行けばいいんだろ」
「あんたも男だったら、堂々と隠さず行くのよ」
「アホか!」
 とりあえず入るけど、幽霊なんていないから意味ないな。絶対いない。いたら怖いから。
 湯船に浸かってじっとしていると、水音がしたが、そっちは見たくないので見ない。
 何かが、じゃぶじゃぶと音を立てて近づいて来た。
 仕方なく見ると、十代後半と思しき女の子だ。きっと宿泊客が間違って入って来たのだろう。何も着ていないので、細い体に不釣り合いな大きな胸が弾むように上下しているのも丸見えである。ブロンドだし、日本人じゃないな。何となく北欧っぽいかもしれない。
「やっと会えましたね」
 話しかけられちまった。普通に女性の声で流暢な日本語だ。
「やっと? あの、あなたは?」
「幽霊、と言ったらどうします?」
「とりあえず逃げます」
 その女の子は口元を両手で隠して笑った。もっと他に隠すべきところもあるだろうに。
「わたしは上から降りてきた者です、この温泉はいいところですね」
「えっと、とりあえず幽霊じゃないってことは確定でいいですか?」
「はい、幽霊ではありません」
 良かった、幽霊じゃなければ、吸血鬼でも宇宙人でもいいや。この感覚って、ゴキブリが嫌いな人が、こおろぎなら大丈夫ってのと一緒だろう、多分。
 ほっとしたためか、同時に違和感も感じ始めた。
 おかしい、なぜ騒ぎにならないのだろうか。阿波の嬌声もなく、言音や桃香の怒声もない。
 その人はオレの隣に座ると、しなだれかかってきた。胸のボリュームを直接感じる。温かいし、柔らかい。
「やっと触れられました」
 そう言いながら、手で腿から上に向かって撫でてくる。
 違和感は警告に変わっていた。少なくとも桃香がこんなこと許すはずがない。
「やめろ! お前、何者だ!」
 オレは立ち上がって距離を取った。腰に着けていたタオルが落ちるが、そんなこと気にしてる場合じゃない。
「さぁ? 自分で確かめてみてください」
 その女の子は立ち上がり、両手を開くと一回転して全身を見せつけた。
 逃げようとするのだが、足がまったく動かない。女の子に抱き付かれ、バランスを崩したオレは湯の中に倒れ込んでしまった。何とか息だけでもできるようにしないとヤバい。
「「神作!」」
 言音と桃香の声が聞こえたようだが、それで意識が途切れてしまった。
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