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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第5章-Page58
 気がつくと、布団の中だった。
 男子部屋の方に敷かれていたが、周りに全員が集まって心配そうにしている。
「神作、気がついた?」
「ああ、言音、何があった?」
「覚えてないの? ひとりで何か叫んで、立ち上がって倒れたのよ、すぐに引き上げて、服を着せて様子を見てたんだけど」
「で、誰が服を着せた」
「ボクと阿波だよ、だから大丈夫」
 ん? ぼく?
「ご案じめさるな都筑氏、パンツは拙者が、いの一番に履かせたでござる」
「そうか、阿波、サンキュな。なあ、お前らって、あの女の子見てないのか?」
「「「女の子ぉ!?」」」
「神作、夢でも見てたんじゃないのっ?」
「誰もいなかったっス」
「それ幽霊やって、他の人に見えへんゆうてたし」
「いや、その女の子が幽霊じゃないって言ってたぞ」
「あんた、幽霊が自分は幽霊だって言うと思ってんの?」
 そこから詳しい事情聴取である。警察なんて目じゃないほど、細かくかつ厳しい取り調べで、私がやりましたと思わず自供しそうになったくらいだ。
 合宿そっちのけで幽霊対策会議が開催された。もちろん本人参加型である。
「まず、幽霊が実際にいるという前提だとどう?」
「それで話が終わりっス」
「幽霊が出たんやもんな」
 そういえば上から来たとか言ってたな。
「なあ、雪華、この上の方って家があるか?」
「家はないけど、墓地ならあるで」
「聞かなきゃ良かった……」
 背筋が寒くなった。
「じゃあ、幽霊なんていないっていう前提ならどう?」
「幽霊じゃないものを都筑氏が見たか、夢を見たかでござろうな」
「でも、立ち上がってたから、夢じゃないんじゃないかも」
「夢遊病か、幻覚みたいなものかもしれぬな」
「それだ、江口、きっとオレは幻覚を見たんだよ!」
 オレは江口を指さしていた。
「じゃあ、何で男しか見いひんの?」
「女はひとりで入らないからじゃないか?」
「阿波サンは幻覚なんて見なかったっスよ」
「まさしく。見ておらんでござる」
「阿波は漢だから、幻覚なんかに惑わされないんだよ、きっと」
 何がなんでも、幻覚にしたいオレは、幻覚の弁護に余念が無い。
「温泉で幻覚って見ることあるのっ?」
「硫化水素だとか、あるいは二酸化炭素で酸素分圧が下がったとかかな。麻薬的な成分かもしれないし」
「うちの温泉にケチ付けんといて」
「雪華、幽霊はいいのかよ!」
「幽霊なら人が来る、危険な幻覚やったら客が来ななるやん」
「身も蓋もないっス」
 円美は西洋人のやれやれというポーズである。
「江口に試させてみましょ、江口、いいわね」
「ワレがか? ふむ、男としては仕方なかろう」
「じゃ、すぐ入って。みんな、配置に着いて!」
 オレはできるだけ近づいてすぐに助けられるようにしようと思った。オレの右には桃香が、左には言音がいる。
 江口は、バスタオルを胸から巻いていた。漢らしくないこと甚だしい。
 何事もなく時間だけが過ぎて行き、結局、江口には何も起こらなかった。
「変ねぇ、江口、あんたホントに男なの?」
 部屋に戻るなり、言音はそう江口に問い詰めた。
「今も見ておったであろう、あんなツルペタな女がおるはずもない」
「そ、そうね、あんなツ、ツルペタな女の子なんて、いるはず、ないわね」
 言音の声が震えていたが、誰もそれを指摘しなかった。いな、できなかった。
 結局、真実は不明のまま就寝である。雪華は自宅に戻り、女子は大部屋の方で、男子は奥から、江口、オレ、阿波の順に布団を並べ、すぐに眠りに就いた。
 翌朝、まだみんな眠っているうちに目が覚めたので、何となく散歩に出る。
 ふとある物が目に留まり、オレは脇道を上の方に歩いて行った。
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