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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第5章-Page59
「神作!」
 呼び止められて振り返ると江口である。
「どうした江口」
「どうしたじゃないよ、どこに行くのさ」
「散歩だ、目が覚めたからな」
「まさかとは思うけど、幽霊が上から来たって言ったから見に行くとか?」
「いや、それはない。というか、幽霊じゃないからな。絶対にだ!」
 人差し指を立てて、江口に念を押すオレである。
「う、うん、分かった」
「なあ、それより江口、口調がまた変わってるんだが」
「そう、昨日は頑張ったんだけど、やっぱ疲れるから。ふたりだけの時はこれで許して」
「お前、昨日もボクって言ってたぞ、オレは芝居だって気がついてたさ」
「そっか。ねぇ、昨日ってボクと阿波は何ともなかったのに、どうして神作だけ幽霊を見たんだろう」
「オレはあれを疑ってる」
 そう言って、上の方を指さした。
「あれ? って、送電線?」
「高圧電線だ」
「電波が出てるってこと?」
「計ってないけど、通常は安全基準以下になってるはずだから、心配ない」
「じゃ、何であれを疑ってるの?」
「その答えは雪華にでも聞いてからだな」
 一応、変電施設まで行ってみて、それから部屋に戻った。
 着替えてしばらくすると、朝食だと言われ、フスマが取り外された。
「なん……だと?」
 用意されていたその食事にオレは驚愕した。言っとくが、インドのナンじゃないから。
「今朝は、あたしと言理でフランス式の朝食を用意してあげたわ。ボナペティ」
 フランス料理ではなく、フランス式というのがミソだろう。出ているのは、皿に盛られたシリアルに牛乳が掛かったのと、カップのカフェオレである、それだけだ。手抜きというか、これは料理とは言わない。
 一口食べるとシリアルは甘いし、カフェオレも甘い。子供なら喜ぶだろうものだった。
 シリアルを忙しい朝などに食べたりするのを否定はしないが、少なくとも、温泉旅館の朝食としてはどうだ? 自炊するキャンプだとしても。
 誰も一言も発することなく、黙々とシリアルを口に運び、カフェオレで流し込んでいる。
 ボナペティと言われたのが今になって腹が立つ。『Bon appetit』って『たくさん召し上がれ』という意味だから。
 シリアルとカフェオレによる高血糖状態でメンバーがどんよりしているところへ、雪華がやってきた。きっとちゃんとした飯を食って来たんだろうな。
「ど、どないしたん! 何かあったんか?」
「何もなかった……なかったんだ! シリアル以外にな」
 血糖値とアドレナリンが治まるまで、しばらくこの空気が続いた。
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