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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第5章-Page60
「なあ雪華、この辺の、温泉ってどう流れてるんだ?」
 少し落ち着いてきたので、オレは雪華に尋ねてみた。
「少し上に源泉があって、そこから引いとるよ」
「やっぱりな。オレの仮説はこうだ」
 紙を出して、図を描いた。ポイントは高圧線と水脈である。
「電流がこう流れてて、温泉がこう流れてる。ファラデーの法則で、なにがしかの電磁波なり電流が生まれているんだと思う。脳というのは電気信号で動く一種の回路だから、それに作用して幻覚を見たんだろう」
「男しか見いひんのはなんで?」
「男女では、脳の大きさ自体も違うし、脳梁の太さも中の回路も違う。体をアンテナだと考えると、身長なんかの関係もあるのかもしれない。オレより小さい江口やデカい阿波は反応しなかったからな。それに、ひとりの時しか出ないのは、他の情報が多いと気にならない程度の信号だからなんじゃないかな」
「お兄さま、かっこいいです」
「神作、探偵みたいっ」
「前に考えたことがあるんだよ、よく双子とかだと互いの何かを感知し合うとか言うだろ? あれは脳の構造が同じだからじゃないかと思ったんだ。片方の回路を流れる信号を、同じ構造だから他方もアンテナみたいに受け取る、ってさ」
「あんた、それちゃんと調べたの?」
「いや、そういう設定で書いたらって思ったところまでだ。昔の実験であったと思うんだけど、脳に何かの電気刺激を与えたら、そこに無い物が見えたとかなんとか。幻覚とかも脳の誤解だし、夢なんて脳内の信号だけで見てるからな」
「他に、あるでござるよ、そういうのが」
 いつになく真剣な声で阿波が言った。
「何だ? 阿波」
「サキュバス、夢魔でござる。これはサキュバスの仕業に相違ござらん」
「ワレは悪魔だと思う、温泉に入ってきておるから吸血鬼ではなかろう」
「あーしは、カ・リナ=メッサだと思ったっス。アレシタッスでは常識っス。」
「ウチは幽霊や思うで」
「お前ら、オレの話を聞いてまだ言うか」
 結局、確かめるすべもないわけで、オレの仮説は棚上げとなり、創作の再開である。
「さあ、びしびし行くわよ!」
 さあ考えろ、さあ書けと言われて書けるものでもない。そういえば、温泉でカンヅメになる作家気分を味わうとか最初に言ってたな。これで書けたなら、やっぱ作家って凄いや。
 幽霊騒ぎ、もとい、電波的何かの騒ぎですっかり忘れたので、まず昨日のメモを読み返す。
 植物でも根菜だから、日光に当たるのは葉、つまり髪だけで、体の方は本来土に埋まっているものなのだから、裸になるのは嫌うんじゃないかな。ダイコンなんて『日光に当たったら青くなっちゃう』とか言いそうだ。いや、服を嫌がるだろうか? だが、どっちにしても風呂は好きで、体をごしごし洗ってもらいたくて何かと主人公を風呂に誘うのがいいな。
 ライバルか敵も欲しい。似たような根を食すものでも、ダイコン、ニンジン、カブ、ゴボウは肥大した直根で、根茎こんけいのレンコンやショウガ、塊茎かいけいのジャガイモなどとは違うのだ。サツマイモは塊根かいこんだから、これらよりダイコンたちの方に近い。根か茎かの違いでだ。英語にしてみると、ロータスルート、ジンジャーなら悪役でもいいが、ポテトでは悪役って感じがしない。ロータス、ジンジャーならコードネームっぽいし、敵役にもいいだろう。
 何を争うかだが……
「オレ、ちょっと出てくるわ」
「何しに?」
 言音はやっぱり聞いてきたか。
「しばし逍遙しょうよう
「なんだトイレか」
「小用じゃないぞ、散歩だ、散歩」
 やはり文豪を気取るなら、逍遙さんぽしながら考えるべきだろう。
 さっきは坂道を上に向かったが、今度は下に行ってみる。温泉旅館の下に歩いて行くと、畑があった。大根が植えられているが、まだ五月頭だから露地栽培の大根は細い。あれくらいの細いのは辛いんだが、それを漬けたのをばあちゃんちで食べたの、オレは好きだな。
「また会いましたね」
 畑を見ていたら、横から話しかけられた。
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