印My Original Work Light-novels
Since 2013-12-01
Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
コアラブ!-第5章-Page61
「え? あ、昨日の!」
 今は普通に服を着ているが、薄いアンバーのひらひらした布で、インドのサリーに近い感じだ。アンバーって琥珀色な。その薄い色だが、分かりやすく言うと作りたての水出し麦茶くらいの色だ。髪はブロンドだが金髪より少し茶色いストレートロング、大きな目はエメラルドグリーンで、寸分の狂いなく完璧に配置された顔のパーツは、どこか作り物のようですらある。
「ええ、幽霊じゃないですよ。それに電磁波が見せている夢でもないですから」
「お前は何者なんだ!」
「わたしは、精霊です」
 胸のところに手を当てているが、指が細く綺麗な白い手だ。
「精霊? 精霊って実在するのか」
「実在、はしませんね、わたしは物理的な存在じゃないですから」
「他にも幽霊を見たという人もいるようだが?」
「わたしじゃないですよ、他の精霊がふざけて出たりするんです」
「昨日はなぜオレを殺そうとした」
「してませんよ! あなたが勝手に転んで溺れたんじゃないですか」
 ぶんぶんと首を横に振って、手をグーにして力説している。
「なぜオレの前に現れたんだ?」
「あなたを気に入ったから、じゃいけませんか?」
「ああ、魔界の指令というならまだしもな」
「精霊界の指令なら分かりますが、魔界なんてありませんよ、まさか中二病ですか?」
「いや、寛解かんかいしているつもりだ」
 完治する病気ではないものが、正常な状態に保たれていることを寛解といい、その状態からまた発病することを再発という。
「もう二度目ましてですから、これからずっと一緒にいられます。いく久しくお願いします」
 そう言って深々と頭を下げた。
「それって、オレが取りかれたってことか!」
「精霊は取り憑きませんよ、私を何だと思ってるんですか」
「じゃあ、オレに危害とかないのか?」
「あ、り、ま、せ、ん! それに文豪とかベストセラー作家にはみんな精霊がいてますよ」
「やっぱり憑くんじゃないか」
「わたしたちが就くんで、あなたが憑かれるんじゃありません。就職とか就寝の就です」
「オレの傍にずっといるって、他の人には見えなくて、声も聞こえないのか?」
「人によっては見えるようですね」
「何か今さら出て来てもって感じもするが、まあいいか。名前は何ていうんだ?」
「名前はまだありません」
「お前、夏目漱石に同じこと言った? 猫耳と尻尾で?」
「言ってません、誰ですかそれ。ご希望なら初期設定で猫耳と尻尾も出せますけど」
 初期設定って?
「いや、いい」
「名前を付けてください」
「あ」
「はい?」
「いや、面倒なときの名前だ、ちょっと待ってくれ、ゆっくり考えるから」
 名前か、見た目は西洋っぽいからそういうのがいいよな。小説の英語『novel』を逆にして女の子だから最後にaを付けて『Levona』、レヴォナにするか。
「お前の名前は、レヴォナだ」
「ありがとう、シンサク。わたしはレヴォナ、よろしくお願いします」
 ……どこで間違ったのだろう。何かオレが受け入れたことになっていて、初期設定して今からスタートっぽい。もしかして、名付けなければ取り憑かれなかったんじゃないだろうか。
Page62 < 次  印  前 > Page60

【お願い】

 表示が崩れる、動作がおかしいなどの場合は、リロードしてください。


【ご利用のヒント】

フォントについて