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Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




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コアラブ!-第6章-Page67
 大通りで車を降り、後はオレと阿波だけがまず行くことにした。危険だからな。
「阿波、あんたなんかで、大丈夫なの?」
「これがあるゆえ、大丈夫でござるよ」
 阿波が指し示したのは沢井旅館の土産物から調達した木刀である。当時のことは詳しくは知らないが、何でも幼くして剣の神童と呼ばれ小学生で既に師範レベルであったとか。中等部からはオレらとエロ話しかしていないのだが、剣の修行は続けていて、既に達人と言われるほどだとか。阿波の心は武士であって、あの侍口調はふざけているのではなく本物なのである。
「とりあえずがんばって。で、神作は何も持たなくていいの?」
「オレはこれさ」
 ポケットから出して見せたのはノック式シャープペンシル、シャーペンである。特殊な機能として、芯の代わりに麻酔銃のような注射針が出る、などということはない。オレの好みでFの芯が入っているだけだ。
「それで何ができるのよ」
「ペンは剣よりも強しっていうからさ」
 みんなあきれて細い目でオレを見ている。
 いや、ツッコんでくれよ!
 それに比べて阿波の凛々しいこと。
「いざ、参るでござる」
 見違えるとはこのことだろう。若侍がそこにいた。あれだけイジリまくっていた女子連中から感嘆の声が挙がったほどである。
 廃工場には人気はまったくなかった。ある倉庫を除いて。
「あそこでござるな」
「ああ、あからさまにな」
 そこだけ見張りがふたりいたのだ。
 ふたりとも腕組みをして、楽しそうに話をしている。周りなんか見ちゃいない。こいつら不良にしか見えないが、何のために彩萌をさらったのだろう。
 オレたちは隠れるようにできるだけ傍まで近づいた。
 そこから阿波はタッっと駆けると、ひとりを一閃、返す刀でもうひとりも倒した。瞬殺である。どこをどう叩けば怪我を最小限に意識を奪えるか知り尽くしているのかもしれない。
「峰打ちでござる」
「いや、木刀だし」
 ボケたのかマジなのか分からないが、一応ツッコんでおく。ツッコんでくれない寂しさを知っているからな、オレは。
 見張りがいたのだから、ドアに鍵はかかっていなかった。
 大きなシャッターの横の出入り口のドアから入ると、中は薄暗く、何の倉庫か分からないが段ボールが高く積まれている。廃工場なのに妙だが、放置されているのかもしれない。
「止まれ! 動いたら撃つぞ!」
 ベタな台詞に足を止めた。
 七メートルほど先に拳銃を構えている男がいる。
 銃で撃つには外さない距離だが、剣では間合いが遠すぎる。近寄る間に撃たれるだろう。
 だが、阿波はにやりと笑った。この顔は美乳に遭遇したときと同じ顔である。
「拳銃ごときで威嚇とは、舐められたものでござるな……阿波流奥義、風刃ふうじん!」
 阿波は木刀を下から上へ跳ね上げると、そこから風の刃が飛び出した。驚いた男が発砲するが、風の刃は銃弾をも弾き、なんと拳銃を真っ二つに切り裂いた。手の辺りにちょっとスプラッタっぽい光景も見えた気もするが、拳銃を撃った方が悪い。
 すかさず阿波は、右手を押さえて苦痛に膝を着いた男に駆け寄ると、一撃を加え失神させた。
 強いな、阿波。
「凄えけど、何で鉄が切れるんだ? しかもあんな遠くから」
「修行のたまものでござるよ」
 奥義とやらであれだけ切れるなら木刀で十分だろう。普通の刀だって鉄を斬るなんてマンガでしか見たことがないもんな。
 段ボールの積まれた間を奥に進むと、事務所か何かの部屋のドアの前に五人の男がいた。
 オレたちの進入を知ってか、全員が武器を手にしている。鉄バット、木刀はまだしも、日本刀がひとりと、拳銃がふたり。さっきもそうだが、不良という感じでしかない。
「どうする、阿波」
 一番近づけたとしても五メートル以上はあるところまでだし、相手は五人もいる。風刃とやらでも多勢に無勢だろう。
「ふっ、知れたことを」
 阿波は楽しそうに言ったが、これはエロ大王おすすめ作品鑑賞時と同じである。
 まだ十メートルは離れているのに、阿波はふっと無造作におどり出た。
 男たちが気づいたその瞬間のこと。
「阿波流奥義、魔穿徹剣ませんてっけん!」
 阿波は目にも留まらぬ速さで無数の突きを放つ。
 にしても、四文字熟語『磨穿鉄硯』から中二病が考えたような奥義だな。
 肩や腹を押さえて、男たちが崩れ落ちていく。痛そうだが、血は流れていないようだ。阿波は倒れた五人にゆっくりと近づくと、次々と意識を奪っていった。
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