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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-1 巫女子に男子-Page2
 席に着くと、隣から義也は声をかけられた。
「安倍麻裡亜です。マリアって呼んでください。クラス委員長ですから、分からないことがあったらなんでも聞いてくださいね」
 長い、しなやかな黒髪で小首を傾げ、にっこり微笑ほほえんでいる美少女に言われたら、男にできることはそう多くはない。
「よろしく、マリア」
 義也がそう言うと、見えないところで小さくガッツポーズをするマリアだった。
 ショートホームルームが終わって担任が教室を出るやいなや、マリアとのやり取りを聞いていた何人かがすぐに義也の席に集まってきて机を取り囲んだ。
「あたし、芦江あしえ安奈あんな、アンナでいいよ」
「サラだよ、河南かわなみ紗来さら。ねぇ、君は他に何ができるの?」
深浦みうら万漓杏まりあって名前なので、マリアって呼んでね」
「私もマリアです、巻田まきた聖愛まりあ、マリアと呼び捨て希望です」
 マリアが異常に多かった。
 同じクラスに三人もマリアがいたため、最初にマリアと呼ばれたことがガッツポーズの理由のひとつだったのだが、マリアは実のところ、『委員長』と呼ばれることだけは何としても避けたいと思っていたのだった。
「ダメよ。もう私がマリアなんだから。マリアンとアイアイはマリア禁止よ!」
 集まった女子たちを見ると、彼女たちはやはり黒髪で、しかも長い。校則で、色染めやパーマなどの人工的加工は一切禁止され、長髪にするよう規定されているからだ。三つ編みや後ろをバレッタで留めたりするのは自由だが、ポニーテールなどのように髪を上げる場合は合理的理由を明記して申請し、生活指導担当の認可を受けなければならない。
 このため、ポニーテールがクラスにひとりいるかどうかで、ツインテールとなると学園にたったひとりしかいない。ツインテールの合理的理由が何なのか知りたいものである。
 河南紗来がクラス唯一のポニーテールで、巻田聖愛はサイドのみ細長い三つ編みにしていて、芦江安奈は後ろをバレッタで留め、深浦万漓杏はそのままのロングヘアであり、安倍麻裡亜もロングヘアだが鬢削びんそぎ、いわゆる姫カットになっていた。
 みんな凄く可愛いな、と義也は思った。
「あたしがマリアになりたかったのに」
「マリアンは、マリアンでいいですよ。それとも油壺にします?」
「誰が油壺よ、アイアイは黙ってな! またマリアがマリアなのが悔しいんだから」
 巻田聖愛は、以前はアイちゃんと呼ばれていたのだが今はアイアイになっている。油壺というのは出身地のことだが、実際は万漓杏をマリアンと読んで愛称になっていた。
 そのやり取りを聞いていたマリアも立ち上がる。
「私がマリアなのはいつもでしょ? 今だってみんなそう呼んでたじゃない」
 三人の中でもマリアは誰からもマリアと呼ばれていた。クラス委員長ということもあるだろうし、成績優秀で、しかも先祖があの安倍晴明ということから一目置かれてもいたからだ。もちろん、委員長と呼ぶとひどく不機嫌になることも影響しているのだが。
 義也はもめている三マリアには係わらないことにした。
「えっと、サラだっけ。言っちゃダメって言われてるから」
「まあいいわ、はい」
 サラから手渡されたのは普通の飴、いちご味ひと粒である。
「くれんのか?」
「違うって、増やしてみて」
 試すなと言われたはずなのに、と義也は苦笑しながら立ち上がると、飴を左手に持って軽く握り、そこから右手で飴を取ってサラに手渡した。
「はい、これ」
 次にアンナへ、それから揉めている三人へ、配り終わると左手を開いて見せた。
 五人に配って、左手にも残っている。
「ホントに増えんのね」
「便利じゃん」
「美味しいです」
 配り終わった途端、みんながもう食べていることが義也にとっては驚きだった。
 飴が増えたことに呆然としたり、いぶかしげに見たりすると義也は思っていたのだが、飴をあらためることすらなく、五人ともが渡されてすぐに包み紙を取り口に入れたのである。
 ――女の子ってそういう習性でもあるのか?
「あの、さ。こういうことのための力じゃないから、もう試さないで欲しいんだけど」
「分かった」
 サラの返事は飴を舌で転がしながらである。
 ともあれ、同じ飴を食べるのも知り合いになるにはいいことだと、義也は飴を口に運びながら思った。
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