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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-1 巫女子に男子-Page3
 初の男子の受け入れだからと、学校側もそれなりの準備をしていた。
 トイレと更衣室も用意してあり、制服を新たにデザインし、それまでなかった濃紺のスラックスまで作ったくらいだから教科書が間に合わないなどということはなかった。寮だけ間に合わなかったが。
 とはいえ、時間割というのは転校生のことを考えて作られてはいない。だから、転校早々、最初の授業が体育なのも仕方ないことだっただろう。
 普通、体育というのはジャージや短パンといった体操着になるものだが、巫女子学園はそうではない。
 巫女装束しょうぞくになるのだ。
 義也は巫女装束というわけにはいかないため、神主の服装のような狩衣かりぎぬというものが用意されていた。それは平安時代の装束で、束帯そくたいがフォーマルスーツ、衣冠いかんがビジネススーツで、狩衣はその名の通り狩りなどの際に着るスポーツウェアであり、当時はそれこそジャージと同じような位置づけだったものである。
 授業はというと薙刀なぎなただった。
 教えているのは担任の奈央深で、彼女は薙刀は趣味で免許皆伝、弓道が専門でこの世に並ぶ者なしという達人、という噂だ。
 鉢巻きにたすき掛けをした巫女たちによる薙刀はなかなかに壮観である。
 薙刀は女性向きのように思われているが、昔は男性のもので、武蔵坊弁慶も薙刀を使ったのは有名な話だ。時代が下るとに槍が好まれるようになり、薙刀は女性が主流となっていったのである。
 義也は薙刀の経験などもちろんない。だから持ち方、構え方、払い方など初歩から指導を受けなければならなかった。初心者すぎて寸止めができないため、小等部から習っているみんなとは一緒に乱取り稽古をさせてもらえずにいた。
 免許皆伝の奈央深であれば、間違っても義也に打たれることはない。
 ……はずだったのだが。
「いったーぃ」
 ビキっという音がしたかと思うと、奈央深が向こうずねを押さえてしゃがみ込んでいた。
 これはさすがの弁慶だって泣く。
 義也が適当過ぎたためか、一撃入ってしまったのだ。奈央深は一切油断などしていなかったのだが。
「す、すみません、先生」
 みんなが集まる中、義也は謝りつつ、奈央深のすねに手をかざした。うっすらと暖かみのある光が集まり、赤紫になったすねを包んでいく。
 その光景に、また周りから色々な感想が漏れる。
 あれって痛み止め? ヒールなんじゃないの? やしなんてできる人いないよね、などなど。事実、この力は癒やしであり、これも今までには誰もいなかった能力だった。
 赤紫の傷が消え、痛みもなくなった奈央深は、残った涙を指で拭いながら言った。
「ありがとう、新上君、もう大丈夫だから」
 体育は週三回あり、全て二コマ続きであり、薙刀はその後の二限まで続いた。
 体育が終わったら急いで着替えて、次の授業に備えなければならない。ジャージとは違うので着替えに時間がかかる分、多少早く体育の授業を終えるのが通例となっている。
 三限は何とラテン語だった。
 語学は他に古代ヘブライ語と、国語として奈良・平安時代を中心とした古典もあるが、普通の高校のような英語や現代国語などはない。
 当然、義也にはちんぷんかんぷんで、五十分間耐えに耐え、忍びに忍んだ。
 だから、三限が終わるやいなや、義也は弁当を出して食べ始めた。ストレス発散もあるが、朝食を食べていなかったこともあってのことだった。
 開校以来、その長い歴史の中でも初の早弁であることを義也は知らない。
「き、君、何してんの?」
「んぁ? サラ、普通に早弁だけど?」
 口いっぱいに頬張ったまま周りを見渡すと、奇異な目で見られていたことにやっと気づく義也である。
 口元からちょっと出たスパゲッティが悲しい。
 それでもみつからなければ問題ないだろうと、義也は弁当を食べ続けた。
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