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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-1 巫女子に男子-Page5
「ついでなので、日本のことも少し話しておきましょうね。みなさんの復習にもなりますし。古代より日本にヤマトという国がありました。この元の言葉ですが、まず、古い言葉では『中つ国』などのように『何々の』というのを『何々つ』と言いました。この『つ』は連体修飾語を作る格助詞ですね」
 教師が板書する。
 
 YHWHつ国
  ↓
 やぁわぁつ国
  ↓
 やわ(和)つ国
  ↓
 やまと(大和)国
 
「こう変化しました。『やぁわぁ』はやわらぎの『和』ですね。ですから『和』の一文字で、『やぁわぁ』であり、後にヤマトであり、同時に大和朝廷をも指しました。『大和』と書いてヤマトと読みますが、当初の意味は、『おお和つ国』だったということです」
 日本語では格助詞を記述せず読むときに補完することがあり、例えば藤原鎌足や源頼朝には書かれていない『の』を補完して読むのである。
 教師は義也を見て微笑むと、続けた。
「和教の和は、この『やわ』のことですね。まあ、この辺りは新上さんも常識として知っていたとは思いますけどね」
 教師の言う通り、多くは義也にとっても常識として知っていたもので、実際、ここまでで驚いたのは素粒子のところだけだった。
 その後も、義也のための授業といってもいいくらいの内容が続いた。
 
 やっと昼休みである。
 義也が早弁したのは朝食用に用意したものであり、昼食は別に必要だった。
 そもそも全寮制なのだから、弁当を作る者などいない。寮がまだ用意できていないから直接登校するようにと言われていたため、義也は途中のコンビニで朝食の弁当を買ったのだが、手続きや学園長の話が長引いて朝は食べる暇がなかったのである。
 マリアたちに誘われ、義也は一緒に学食へ行くことにした。
 六人でぞろぞろと歩いていると、通り過ぎる誰もが義也を見ている。転校生というだけでなく、初の男子なのだからパンダ初来日くらいの珍しさだったのだ。
 高等部の学食は女性向けで瀟洒しょうしゃな造りになっていた。もっとも、薙刀、弓道、合気道などの武術を学び、かつ神通力は精神力や体力を消耗するため、頼めばいくらでも大盛りにしてくれるという。私たちはそんなに食べませんけどね、とはマリアの弁。
 義也にしても三限終わりに弁当をひとつ食べているので、それほどの食欲はなく、普通に日替わり定食を頼んでみた。出て来たそれは、小洒落ていて美味そうだったが、量は男子高校生にとってはやはり少なめだった。
 マリアとマリアンとアイアイの三マリアにサラとアンナが義也を囲み、六人での食事なのだが、周りには聞き耳を立てている者だらけである。みんな興味津々なのだ。
「義也くんの属性は何?」
 マリアンに問われて、眼鏡属性はないし、巨乳、貧乳、ましてロリ属性なんてないし、そんなのあっても言えないし、あえて言えば美乳かな、などと義也は考えていた。転校前の友人たちとはそんな話ばかりしていたからだった。
「ほら、さっきの四大要素ってやつよ、サラは風だし、マリアは火よね」
 サラが説明すると、アンナが引き継ぐ。
「ない人も希にいんのよ、あたしみたいにね」
 ――あ、そっちか。
「一応、検査の時に言われたのは、地、なんだけど」
 義也がそう言うと、みんなが驚いた。周りの耳ダンボな数十人も一斉にだ。授業で聴いた通り、地属性というのは定義されているが、これまで誰もいない。『神の領域』とまで言われているのである。
「では、義也さまは神様なのですか?」
「いや、アイアイ、そりゃいくらなんでも……。ち、違うんだろ? 義也くん」
 真顔で問うアイアイに、少し焦りを見せて否定するマリアンだった。
「神、というのはありえませんね。でも神の子というならないとは言い切れませんが」
 真面目な顔で分析するマリアである。
「なんか昔、神の子で、癒やしができて食べ物を増やせる人って、いたよね」
 サラの言葉に乗ってアンナは義也に問いかけた。
「いたね、そういうのが。義也って水の上に立てたりする?」
「できるけど、なんで?」
 義也は空中に浮けるし水の上にも立てるが、それは巫女の中にも多くいるはずで、それほど珍しいことではない。物理法則からの脱却は神通力の基本でもあるのだから。
 義也のその言葉に学食が静まり返ったのは、みんな一斉に神託を得ようと祈り始めたからだった。合掌している者、指を組んでいる者など様々である。
「やっぱりね」
 そう言いながら最初に顔を上げたのはアンナで、その後も次々に顔を上げていったが、どの顔も、目が潤んでいたり、上気している。
「私が、私たちがお守りします。いえ、ご一緒させてください」
 マリアはそう言って義也を見つめていた。
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