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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-1 巫女子に男子-Page6
 昼食を終え教室に戻ると、その雰囲気は異様だった。
 学食での顛末が既に学校中の知るところとなっていたからだが、話を聞いてから神託を得た者も少なからずいたのだ。しかし、義也が何者なのかを正しく知りえたのは、なぜかマリアたち五人だけだった。
 義也は能力について断片的に話しているが、学園長から秘密にしろと言われたことについては、まだ何も話していない。それは巫女の神託によってでさえ、細部までは知ることはできないだろう。なぜなら、神託は大雑把だったり比喩的なのだから。
 実は、ここまで学園長の予言通りである。
 義也の真の能力、学園や日本政府が秘密にしておきたかった能力とは、『力の譲渡』なのだ。これはサラやアンナの言う、昔いたという者にはなかった能力である。
 力の譲渡とは何か。
 一般の巫女の神通力では窓を割ったり壁に穴を開ける程度の力しかない。だから武術も習うのだ。学園長であっても家一軒を吹き飛ばすとなるとそれなりの準備が必要だろう。ところが、義也がもし最大限に力を譲渡したならば、巫女なら誰でも関東一円を火の海にしたり、海に沈めたりできてしまうのだ。
 それが分かったことが、義也を学園に迎え入れ保護しようとしたことの大きな要因だったのである。もちろん義也の能力を悪用されないためだ。もっとも、正しくは譲渡ではないし、その方法は四段階想定されていて、それらにより強さも変化する。最大限の譲渡というのはかなり困難な方法であるため、悪用される可能性は極めて低いのだが。
 そんな教室の雰囲気の中、義也はわけの分からないヘブライ語と格闘しながら、いや実際に格闘したのは睡魔とだが、ようやく五限を乗り切った。
 六限は神学の時間である。
 予め、神学は重要なので力を入れるようにと学園長に言われていた。
 巫女の力の源ですらあるという。
 神学は神についての授業だが、同じ神のことなので和教とは表裏一体なのはいうまでもない。
 授業は悪鬼あっきとそのはらい方についてだった。
 教えるのは二十代後半と思しき巫女装束の教師である。
「悪鬼と一応呼びますが、悪鬼羅刹らせつ、妖怪変化、悪魔でもサタンでも呼び方は関係ありません。これを祓うことを、仏教では調伏ちょうぶくと言いますが、私たちは祓魔ふつまと呼んでいます。祓魔師は西洋でのエクソシストも指しますが、私たちの祓魔には彼らのような十字架も聖水もいりません。なぜだと思いますか? 新上さん」
 突然指名されて義也は動揺した。
「えっと、和教の精霊の力で祓えるから、でしょうか」
「そうですね。和教は全てを包含しますから、相手も選ばないということです。逆に言えば十字架を恐れるのはキリスト教徒の悪魔の一部だけで、仏教の悪霊では十字架は何の意味もありませんから」
 ちなみに、マリアはあの有名な陰陽師の末裔まつえいであることから、祓魔にもけていて、平均的な高等部の巫女レベルより頭ひとつ抜きん出ている。
「さて、悪鬼の強さについてですが、これを見てください」
 教師は黒板に巻物を吊して示した。
 
 ・悪鬼の強度表
 強度一 非常に霊感の強い人だけが感じる
 強度二 誰もが感じ、障子などがわずかに動く
 強度三 家が揺れ、戸や障子などが音を立てる
 強度四 家が強く揺れる
 強度五 壁や窓ガラスが割れたりする
 強度六 三割程度の家が倒壊する
 強度七 七割以上の家が倒壊する
 
 ――地震の震度、だな。
 それを真似たのではなく、これが実用的だったのだ。
「実際に出現するのは強度三までで、それ以上はほぼ出てくることはありません。強度一は気配けはい、強度二はラップ現象、強度三はポルターガイスト現象などと呼ばれていますね。強度と祓魔の対応はこんな感じです」
 教師は強度表の横に板書を始めた。
 
 ・祓魔力との対応
 強度二 現在の実力でも祓える
 強度三 一般の巫女が祓える
 強度五 祓魔師が祓える
 強度六 高祓魔師か複数の祓魔師で祓う
 強度七 祓うのが非常に困難
 
「みんなはまだ強度二程度までしか祓えないと思います。祓魔力と神通力の強さは同じではありませんしね。強度五を祓えるのを祓魔師と呼びます。もっとも、この力は計測によって決まりますから、実際に強度五を祓ったことがある祓魔師はほとんどいないませんし、これは高祓魔師でも同じです」
 教師は教卓の上の装置を示して続けた。トースターくらいの大きさである。
「これから、これで悪鬼を呼び出します。でも、まったく心配はいりません。強度三までしかいませんし、私は祓魔師ですから」
 教師はにっこり笑って、おもむろに装置のスイッチを入れる。ブーンというバズ音を出し始めると、ほどなくして黒い霧のようなものが漂い出した。
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