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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-1 巫女子に男子-Page7
「来ます」
 雰囲気作りのためだろう、わざと緊迫した声で教師は宣言した。直後、ドアや窓がガタガタと鳴り出す。
「これが強度三です、今から祓って……」
 再び穏やかに話し始め、途中で顔色が変わった。
「待って! 何これ!?
 教師の言葉の最後は悲鳴に近くなっていた。周囲の振動音が激しくなり、床の揺れも次第に大きくなっていく。地震のP波の小さな揺れの後にS波の大きな揺れが来たような感じだ。
 地震なら震度五弱はありそうだと義也は思った。悪鬼の強度と地震の揺れ方を同じにしておくと、このように誰にでも判断しやすい。
『我を呼び出せし者よ、いかなる死を望むや』
 低い男の抑揚のない声ではっきりそう聞こえた。
 教師は「こんなはずじゃ」などと言うだけで、祓魔どころではなかったし、ほとんどの生徒もすくみ上がっていた。
 やがて黒い霧のようなものは一ヶ所に集まりだし、人のような姿になっていく。
 そこに、さすがは安倍氏の末裔、マリアは果敢に祓魔を試みる。だが、彼女の力は途中で霧散し悪鬼に届くことはなかった。
 やがて悪鬼の頭には目のようなものができ、黄色く光を放つそれは、攻撃を仕掛けたマリアをぎろりと睨んだかに見えた。
 直後、霧が細く腕のようにマリアに延びていく。
 マリアは息を飲んで硬直してしまった。
 ――ヤバい!
 義也はマリアをかばうように立つと、右手を迫ってくる霧の腕に向けた。その刹那せつな、光が掌から広がり、霧に向かって光が走ったかと思うと、悪鬼を一瞬にして消し飛ばしていた。
 たったそれだけで、悪鬼は跡形もなく消え去っていたのである。
 あっけに取られるクラスの視線を集めながら、義也は教卓まで歩くと装置のスイッチを切った。
「もう大丈夫ですよ、先生」
 そうことさら明るく言うことで、義也は教師を安心させようとしたのである。
 実際、義也にとってはどうということもなかった。それが強度五の悪鬼で、祓魔師と呼ばれるほどの力が必要であったとしても。
 教師は祓魔師とはいえ強度三までの祓魔経験しかなく、気が動転したため対処できなかったし、マリアはまだ修行途中ということもあり、残念ながら力が及ばなかったのだ。
 これで一番消耗したのは当の教師で、そのため授業は中断され、自習を宣言すると報告に行くと言って退室してしまった。
「凄いですね、義也さん」
 マリアはいかにも感心したという声である。祓魔にいささか自信のあったマリアがまったく敵わなかった悪鬼を、いとも簡単に祓ったからだ。
「祈ってもいないし、詠唱もしてなかったよね」
 アンナである。いつの間にか最初の時と同じように、五人が義也の机を取り囲んでいた。
「あれくらい何てことないんだけど。違うのか?」
「今までにもあったってこと?」
「ああ。サラはないのか? あの程度はしょっちゅう出て来るんだけど」
「強度三までしかないと考えられてたんです。強度五なんてほぼありえないはずですよ」
 マリアが言うんだからそうなんだろうと義也は思った。
 義也にとってあの程度の悪鬼は日常的であって、物心付くころから蝿を追い払うように祓ってきた。眠っているときですらだ。悪鬼が彼にかれて来てしまうのである。
「大体、喋るって何? 聞いたことないんだけど」
「そうそう、ガタガタって音がするだけだよね」
「喋るって、知能があるってことですよね? 怖いです」
 そんなことを話していると、ドアが開けられ、奈央深と神学の教師、それに学園長が入って来た。
「席に着いてくださーい、まだ授業中ですよー」
 奈央深に言われ、みんなが席に着くと、教壇に立ったのは学園長だった。いささか真剣な面持ちで静かに話し始めた。
「みなさん、初めての強度五悪鬼にさぞ驚いたことでしょう。ですがこれは今後もありうることですから、これから特別授業を行うことにしました。これからこの授業で話すことやることは絶対の秘密とします。決して口外してはなりません、よろしいですね」
 全員から「はい!」という元気な返事があり、学園長は満足そうに頷いた。
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