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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-2 迎賓館にて-Page10
 宛がわれた部屋に入ってひとりになると、実に落ち着かない。今朝までいたのは研究所の簡素な施設だったし、その前は母と小さなアパート暮らしだったからだ。
 部屋はスイートルームで、リビングはアパートより何倍も広く、ウォークイン・クローゼットがちょうどアパートの部屋くらいの広さだった。そういえば、研究所に連れて行かれてから既に三ヶ月、ずっと母とは会っていないが、元気にしているだろうかと心配と寂しさがつのる義也だった。
 そんなことを考えながら部屋を見て回っていると、ドアがノックされ、学園長とひとりの女性が入って来た。
「母、さん?」
 入って来た女性は、義也の母だったのだ。
「新上君や、今日からこのメイド長が君の世話をするからね」
「義也、元気そうね」
 母と子は再会と互いの元気な姿を喜び合った。
「息子の世話をさせるのに母親はうってつけさね。ただ母だと知られないようにはしておくれよ。特別待遇過ぎるからね」
 教室とは違い、ぞんざいな喋り方の学園長である。
 迎賓館を寮にするより、寮に母を呼ぶことが特別待遇なのかは分からないが、義也は素直に嬉しかった。何より、自分の傍にいてくれた方が安全なのだから。
「私ゃ行くから、夕餉ゆうげまでゆっくりしといで」
 そう言うと学園長は部屋を出て行き、母も仕事があるからと行ってしまった。
 またひとりになった義也だが、もう不安は消え寂しくもなかった。
 しばらくすると、食事の用意ができたとメイドが呼びに来た。迎賓館の職員はそのまま残されていたのである。連れられて向かった先には、映画かアニメでしか見ないような長いテーブルがあり、学園長と大統領、それに奈央深とマリアたちクラスメイトが何人か席に着いていた。
「はじめまして、義也さん、大統領の坂本乙女まりあです」
「もちろん存じてます、はじめまして、猊下げいか
 ――しまった、閣下の方が良かったか。
 義也の中では閣下というと十万歳を超す悪魔風ビジュアル系バンドのボーカルを意味するのと、猊下なんて一生使わないだろうから折角だし的なことがあったのだが。
「くすっ、猊下だなんて。姫巫女かまりあとお呼びくださいな、義也さん」
 龍馬の姉の名が乙女なのは有名だが、大統領は乙女と書いてまりあと読む。
 しかし、どうにもマリアが多すぎる。
 なにしろ、義也の母もマリアなのだから。
「マリア」
「「「「「はい」」」」」
 義也が試しに言ってみると、五人も返事をした。給仕をしていた母のマリア、大統領の乙女まりあ、クラスメイトのマリアとマリアンとアイアイが一斉に返事をする始末。ちなみに、事実上、大統領に対しまりあと呼び捨てにしたことには気づいていない義也だった。
 連れられて来られたのはその三マリアとサラとアンナの五人で、これが縁というものだろうか、あるいは神の導きか、最初に集まった五人が五人とも迎賓館にいた。大統領と学園長の前だからだろう、クラスメイトたちは借りてきた猫のようである。
 学園長の合図で神に祈りが捧げられ、食事が始まった。
 それはまさに晩餐という感じで、義也は生まれて初めての豪華な食事に驚喜した。マリアたちは清楚なお嬢さま然として、優雅に食事をしている。巫女は名門や良家出身が多いのだから、これもまた真の姿なのだが。
「ここには義也さんの他に、私とこの五人も住むことになりました。一応私が責任者ってことになります、お手当は出ませんけど。彼女たちの家からも是非にと承諾を受けました。身の回りのお世話はメイドたちが行いますから、主に警護のためと心得てください」
 奈央深は『お手当は出ませんけど』をことさら明瞭に発音して言った。
 建物の周りは神衛隊という巫女による組織が守っている。中はクラスメイトたちが守るというが、そこまでされる必要があるのかと義也は不思議に思った。
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