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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-3 生徒会役員-Page18
 さて、暖まったし体でも洗おうかと思っていると、入り口の方が騒がしくなっていた。湯帷子ゆかたびらという平安時代の入浴着を着てマリアたちが入って来たのである。
 湯帷子は時代が進むと湯文字となり、腰巻きとなる。もうひとつの進化が浴衣であり、江戸時代の銭湯の混浴では浴衣を着て入ったのだが、浴槽は壁に囲まれ石榴口ざくろぐちという所から入るようになっていて中は暗かった。
 しかし、今の風呂は中だって十分に明るい。
 今になって大浴場がひとつしかないことに気づく義也だった。混浴とはいえ彼女たちが湯帷子を着ていたためそれほど驚きはしなかったが。
 だがしかし、湯帷子を着て掛かり湯をしたら、どうなるか。
 濡れたTシャツ状態である。
 そして今、義也は自分が何も着ていないことを猛烈に焦り始めていた。
 なぜなら、彼女たちは掛かり湯を終えると、湯船にぞろぞろと入って来て、しかも、どんどん義也に近づいて来たのだから。
 無防備過ぎるだろ、と、掛かり湯から今の今までつぶさに見ていた義也は思った。
 義也の中の天使が囁く。
『変なこと考えちゃダメだ。平常心、平常心』
 義也の中の別の天使が囁く。
『大丈夫、義也なら。ほら、素数を数えて』
 義也の中には天使しかいなかった。
 ついには何人もの天使が義也の周りを踊って回り出した。
 ――よおぉ、ペテロ、久しぶりだなぁ。
 義也は湯船の中に倒れてしまった。
「キャーッ! 義也さん大丈夫ですか!」
「義也っちが死んじゃうよー」
「義也くん、気を確かに」
「大変! すぐに上げなきゃ」
「あたしが足を持つから、みんな手とか頭を頼む」
「いいわ、とりあえず運びましょ」
 ここで彼女たちは致命的なミスを犯したのだが、気が動転してのことだろう。もし、この時義也に意識があったなら言ったはずだ。「股間にタオルくらい掛けてくれよ」と。
 脱衣所にバスタオルを敷き、そこに義也は安置された。その姿は磔刑たっけい後のキリストを彷彿とさせるが、義也の方は腰布すらなかった。
「体を拭かなきゃ」
 マリアのその言葉に、一斉にタオルが延びる。
「これって、おしべ、だよね」
「私にはこんなの付いてませんから、きっとおしべです」
 その、おしべと断言された部分を避けようという者はいなかった。
「おしべの先っちょも拭くべきだよな」
「先っちょ!?
「ば、バカ、サラ、でかい声を出すな、起きたらどうする」
 気がついた方がむしろ良いはずなのだが。
「やっぱり、拭くべきだと思います」
「だよね、外側だもんね」
「おしべって拭いてもいいの? 花粉は大丈夫?」
「見たとこ、花粉は出てないよ」
 熱心に観察している巫女たちである。
「あの、服とか着せた方がいいですよね?」
「お、アイアイは冷静だね」
 さんざん観察された後、やっと服を着せてもらえる義也だった。
 ひとしきり済んでから、人を呼ぶべきとの声があがる。
「さすがだな、マリア、盲点だった」
 内線でメイド長に事の次第が告げられたのは、義也が倒れてから二十分後のことだった。
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