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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-4 異邦人-Page20
 そんなに普通じゃない日というのは多くない。だから日常と言うのであって、非日常というのは極めて希なのだ。
 六人で登校して教室に入ると、何やらざわめいている。どうやらまた転校生が来るらしい。義也たちは今朝も担任の奈央深と顔を合わせているのだが、誰もそんな話は聞いていなかった。
 日常の中の非日常である転校生、つい三日前に義也が来たばかりなのだからかなり珍しいことではあるだろう。
 だが、現実はそれどころではなかった。
 始業ベルが鳴り、しばらくして奈央深が教室に入って来たが、その光景は異様だった。
 なぜか暗い声で、奈央深はカツカツと名前を書ながら言った。
「えっと、ついこの前に新上君が転校してきたばかりですが、また転校生です」
 
 イザベル・アンダーソン(米)
 イヴ・ル・ヴェリエ(仏)
 ディナ・プレゲスバウアー(独)
 ハンナ・バチェリコヴァ(露)
 ミリアム・ラッツァリーニ(伊)
 
 ――いや、いや、おかしい、巫女の学校に外国人、それも五人って。
 教壇に立つ彼女たちを見ると、米が茶色の髪でストレートのセミロング、仏がちょっと暗めのブロンドでショートボブ、露はワンレンストレートロングの完全な金髪、独が赤毛っぽいジンジャーのボックスボブ、伊が濃い茶色のブルネットで緩いウエーブのセミロングである。瞳は米・仏・露はブルー、独が緑っぽく、伊は茶色っぽい。全員、グラビアモデルかというくらいプロポーションが良く、日本人体系が嫌になるくらい手足が長かった。
 しかも、これでもかというくらいの美少女である。マリアたちの名誉のために言っておかなければならないが、彼女たちも道行く人が全員振り返るであろう美少女揃いなのだ。
 その点では甲乙付けがたい。
「先生!」
「なんですか、新上君?」
「他の学年にも転校生が大勢入ったんですか?」
 義也の問いに、酷く暗い声で奈央深は答えた。
「……うちだけですよ」
 クラスは能力で分けられるから二年の転校生が全部一組でもおかしくはないが、何かの事情で大勢転校してきたなら、他の学年にも転入してくるはずだと義也は考えたのである。ところが実際は、二年生だけに五ヶ国五人が入ったというのだ。
 質問した義也を見た彼女たちは「ジーザズ」「ハッレルーヤ」などと言っている。
「新上君、これは高度に政治的な問題なのです」
 奈央深の言葉に、義也は心底関わらないようにしようと決意した。
 その日の授業は賑やかだった。もちろん、最後列に陣取った転校生たちのせいである。
「センセ~、日本の神というのは~、我われの神と~違うのですか~?」
「同じといえば同じ、違うといえば違うかもしれません」
 相変わらずの禅問答である。
「その御輿~は契約のアークみた~いです」
「そうですね、御輿には十戒を納めました。それから、乳と蜜の流れる東の地、すなわち日本を目指したのです」
 教師はそう言うと黒板に『乳と蜜』とだけ書いた。
「エロっ!」
 その声の主は義也がまだ話したことがない生徒だった。
「江口さん、これのどこが猥褻だと?」
「その下に団鬼六とか富島健夫、それか宇野鴻一郎って書いたら分かります」
 しかも、書いた名前で内容はおろか文体まで分かってしまうだろう。
「メルク&ハネはエロくないで~す」
「宇野鴻一郎~? 誰ですか~?」
 論点がずれたりもしながら、神の違い、文化の違い、言語の違いなどと質問は多岐に及んだ。
「せらから言うたやん、ニッポンのんはちゃうねんて」
 ――誰?
 クラスの八割は声の方を振り返り、義也は二度見した。義也には声の主がどの子なのか分からなかった。
 そんな非日常的授業も進み、昼休みとなった。
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