印My Original Work Light-novels
Since 2013-12-01
Update 2015-02-28

コアラブ!




俺と巫女と和の神




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
俺と巫女と和の神-4 異邦人-Page22
「なるほどの」
 小声で話してきた超子だが、いきなり過ぎて何のことか分からない義也だった。
「へ?」
「こやつらがキリシタンが送り込んできたという刺客か」
「刺客?」
「うむ。事は高度に政治的問題もはらんでおるから、あからさまな撃退もできぬが、きゃつらは義也を狙ろうておるのじゃ」
「俺を? 刺客って、まさか命を狙って?」
「いや、タマといっても別のタマじゃな」
「待った、もしかして下ネタなら止めとけ。身分的にヤバイ」
「ふむ、ならば仕方ない。助さん、格さん、説明しておあげなさい」
 そこだけ口調が変わる超子である。
「えーっ、ヤですよー」
「私たちなら下ネタでもいいと?」
「あの、もしかして遺伝子の関係じゃないでしょうか」
「良く言った、マリア! 遺伝子なら下ネタではないな」
 やはり下ネタだったようである。
「そう言えば誰か、誰だっけ? 遺伝子がどうとか言ってたな」
 すっかり義也に忘れ去られている担任、奈央深だった。
「うむ。義也の遺伝子が欲しいのはキリシタンも同じじゃろう」
「なんでさ」
「愚か者! 好きな男の赤ちゃんが欲しいと思うのは自然の摂理であろうが!」
 それとキリシタンが遺伝子を欲しがるのとがかけ離れ過ぎていて、どう繋がるのかさっぱり分からない。ただ、好きな男の赤ちゃんが欲しいとか食堂で叫ばないで欲しいと、義也は心底思った。
 騒がしい昼食時間も過ぎ、教室に戻ると和教の時間である。
 面倒なので転入外国人五人組を義也はキリシタンズと呼ぶことに決めた。そのキリシタンズは和教に驚愕していた。絶対神というのが彼女たちの神と同じというのは当然として受け入れたのだが、それ以外が違いすぎたのだ。
 向こうから見ればバリバリの異教だが、こちらには異教という概念がないから、キリシタンだって異教徒ではない。
 だから転入できたのだ。
 なんでも取り込み、否定をしない日本的宗教観を理解するのは、キリシタンなればこそ難しいことだろう。授業中も「ジーザズ」だの「そらニェットやって」などうるさかった。
 六限から二コマ続きの体育は、弓射場に体操着という名の巫女装束で集められた。弓道なので女子は胸当てをしている。金髪の巫女装束もなかなかのものだが、これはやはり日本人に軍配が上がるだろう。
 教えるのは担任の奈央深だが、弓道は彼女の専門である。
「弓を引くのは力ではありませんよ」
 初心者の義也とキリシタンズは初歩からの指導だ。弓道では射法八節といって八つに所作が別れるのだが、見よう見まねで最初から上手くいくはずもない。
 手薬煉てぐすねを引くが、それは松ヤニを油で煮て捏ねたもので、ロージンバッグと同じ、要は滑り止めだ。左手に弓を持つため、これを弓手ゆんでといい、右手は手綱たづなを持つため馬手めてという。
 馬手で弦を引くのではなく、引き分けといって、弓手を突き出しすことと弦を引くことを同時に行う。西洋のアーチェリーは左手を延ばして固定し、そこから矢をつがえた弦を右手で引くのだから、似ていてもまったく違うのだ。馬も、西洋は左から乗るが、日本の古い馬術では右からである。関係ないが、ノコギリもカンナも逆で、西洋は押して切ったり削ったりするが、日本では引いて切ったり削ったりする。と、結構逆のものが多い。
 義也が適当な所作で射るところを見ていた奈央深は感心するように言った。
「うん、やはり新上君は私が見込んだだけのことはありますね」
 どうやら担任に見込まれていたらしい。
「矢に気を送って、当たれと念じてみてください」
「はあ」
 義也は、とりあえず奈央深に言われたようにやってみる。
 ――当ったれー!
 折角なので、ちょっとヒーローアニメっぽくしてみる義也である。
 すると矢はニュートン力学を無視して光のごとく一直線に進むと、的の中心をズバっと射貫いた。途端、大爆発を起こしたが、これは義也は悪くない、はずだ。
「力を籠めすぎです」
「すみません」
 奈央深に言われたので、義也は一応謝った。
Page23 < 次  印  前 > Page21

【お願い】

 表示が崩れる、動作がおかしいなどの場合は、リロードしてください。


【ご利用のヒント】

フォントについて