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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-5 江戸御用邸の攻防-Page25
 義也は無造作に数歩前に出ると、周囲を見回す。もちろん、霧の腕をその都度消しながらだ。
 悪鬼本体のおおよその位置は義也も掴んでいるが、かなり絞り込まないと周囲への被害も増える恐れがある。ならばと、義也が少し解放する力を増やすと、それに呼応するように悪鬼の体が膨れ上がった。
『ウマそうだ、早く喰わせろ』
「そこだぁ!」
 義也はヒーローアニメを気取って言うと、右手を伸ばして大きな光りの塊を飛ばす。光はカーブを描いて飛ぶと、正確に隠れていた悪鬼本体を直撃した。悪鬼は消し飛んだが、少しばかり力が強かったため、周囲の木々も何本か爆砕してしまった。どうもヒーローアニメの真似をすると力が入り過ぎる義也である。
 超子はけほけほと小さく咳をしていた。
「大丈夫だったか?」
「バカもの、もそっと加減せい」
「だな」
 残りの四人は倒れていた。超子は祝福を受けていたから無事だったのだが、他の四人はそうではなかったからだ。霊障までは至らなかったのが幸いである。もっとも、霊障を受けたとしても、義也なら癒やすことができるのだが。
 義也は真水湖、彩香と奈菜に次々と手を頭に乗せては、癒やしつつついでに祝福すると、すぐに三人とも目覚めた。
 少し離れたところの美歌にも同様にすると、意識を取り戻す。
「大丈夫か?」
「この程度、なんでもござりません」
「なあ、お前、忍者だろ」
「ちち、違います。ど、どう見ても巫女でござりましょう」
 美歌はえらく慌てて否定した。
「いや、どう見ても忍者なんだが。その頭巾とかマスクとか」
「こ、これはコスプレにて、キシリア・ザビにございまする」
 どこかのシーンのつもりか、美歌は妙なポーズを取った。
「そ、そうか。まあ、そう言うならそれでいいや」
 らちがあかないからと義也は追求を諦めた。年上で先輩なのだが、既にぞんざいに扱っているのは美歌の口調のせいかもしれない。
 義也はすっと立ち上がると超子に言った。
「もう出て来ないと思うけど、急いで帰った方がいいかもな」
「うむ、そうするとしよう。ものども参るぞ!」
 一行が江戸御用邸に向かって歩いていると、向こうから徳川侍従長が血相を変えて走ってきた。かなり大きな音がして、煙も上がったからだろう。
「ひぃさまー! 大事ございませんでしたかー!」
 目の前まで侍従長が来るのを待って、超子は言った。
「うむ、大事ない。義也が守ってくれたゆえ」
「左様でございますか。義也殿、まことにかたじけない」
 深々とお辞儀をする侍従長だった。もしかすると超子の喋りは、この侍従長のせいなのかもしれないと義也は思った。
 超子と侍従長が先頭を進み、義也はやはり最後を歩く。途中、前の方から「一生守ってくれると申しておったぞ」「左様ですか、それはよろしゅうございましたな」などという声が聞こえたが、義也には何のことか分からなかった。
 江戸御用邸は近代的な作りだった。
 超子が中等部に進む頃に、住みやすいようにと旧御用邸の隣接地に新築したのがこの御用邸で、以前の御用邸は整備され迎賓館としたのである。だから迎賓館は超子にとって勝手知ったる元我が家だったのだ。
 御用邸に入ると中も近代的な作りで豪華なホテルといった感じだった。超子はまず義也の部屋に案内すると言う。
 行ってみると、確かにそこは子供のような字で『よしやのへや』と書かれたドアがあった。
 油性ペンでドアに直に。
「義也は男じゃから、寝泊まりは別々にとじいが言うでな、義也はこの部屋を使うがよい。もっとも、寝るときだけじゃぞ、それ以外はわらわの部屋で遊ぶのじゃ」
 子供のように言う超子である。
 本当に案内だけで部屋の中を見るでもなく、すぐに超子の部屋へ向かった。
 義也は侍従長とふたりだけでベッドルームにいた。妙なことを想像してはいけない。超子たちが着替える間に義也も着替えるためであり、侍従長はその見張りである。着替えの用意などあるはずもない義也だが、スエットの上下が用意されていた。
 もうよいぞという超子の声で出て行くと、超子はふりふりのワンピースだが、他のふたりは義也と同じだが色違いの無地のスエットだった。
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