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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-6 勉強のすすめ-Page31
 義也が気づいたのは、自室のベッドの上で、地球がぐるぐると猛烈に回転しているのを感じながらだった。
 辺りを見回すと、心配そうに見ている奈央深がふたり、母マリアもふたりいる。
「ド、ドッペルゲンガー!」
「気づいたわね、これをお飲みなさい」
 義也の言葉を無視して、母マリアはコップを差し出した。何かの薬のようである。母は元巫女であり、薬の調合ができる薬師でもあったため、子供の頃から義也は度々母の薬を飲んでいた。良薬口に苦しというが、母が調合する薬は苦かったことがほとんどない。
 義也が起き上がってそれを飲んでみるとやはり苦くはなく、水に近いもので、ほんのり柑橘系の風味がした。ふと横に置かれたペットボトルを見ると、市販の補水飲料だった。
 それでもしばらくすると、気分も安定してきて、地球の回転は遅くなり、ドッペルゲンガーも消えていた。
 大丈夫そうねと、母は仕事に戻って行った。
「ごめんね、新上君、あんなに弱いって思わなくて」
 奈央深は『弱い』を、ことさら明瞭に発音した。
「俺の方こそすいませんでした、初めてなのに調子乗って飲んじゃって」
「今度、ちゃんと飲み方を教えるわね」
「はい、っていうか、勉強を教えてくださいよ」
「そうね、でも今日はムリかな。明日から始めましょう。中間考査もあるからがんばんないと」
「はい、お願いします」
 義也はベッドに座ったまま頭を下げた。くらっとした。
「ただ、私は別の仕事もあるから、他の先生を頼んでおくわね、それでいい?」
「もちろんです」
 寝室のドアがバンと開くと超子が入って来た。ノックなどしたためしがない。後に侍従長が続く。
「義也、倒れたと聞いたぞ、大事ないか!」
「ああ、初めてビール飲んでぶっ倒れただけだから」
「もう大丈夫なのか?」
 本当に心配そうな、か細い声の超子だった。
「まだちょっとくらくらしてるけど、動かなきゃ何てことないよ」
「ならばよし、じい、あれを!」
 超子はまったく普通の声に戻ると、侍従長に何かを命じた。
「はは、ひぃさま」
 侍従長はそう言うとデッキの前に行き、ディスクをセットした。
 小型液晶テレビには『ひみつの姫巫女!?』第一話が始まっていた。
「それじゃ私は行きますね」
 奈央深はやれやれと嘆息すると部屋を出て行ってしまった。
「どうしたのじゃ、まだ具合が悪そうじゃの」
「いや、そうじゃなくて、超子のアニメは好きなんだけどさ、中間考査前で勉強しなきゃって焦ってきてて、アニメ見てる場合じゃないって感じなんだ」
「そうか、ならばわらわが教えてやろう」
「マジか? 助かるよ」
「して何を勉強したいのじゃ?」
「まったくダメなのはラテン語とヘブライ語だな、そんなのやってる高校生なんていないだろ?」
 超子は二度頷いた。
「あい分かった、じい、アニメは取りやめじゃ! 義也の家庭教師をするぞ」
「ひぃさまはお優しいですな」
「うむ。わらわの半分は優しさでできておるからの」
 残りの半分がなんでできているのか知りたいと思う義也である。
 さっそくベッドの上に教科書を広げて勉強を始めると、侍従長は私はこれにてと帰って行った。
 超子に教わってみると、義也はすぐに理解できるようになっていた。
「なるほどな、そうやると意味が分かるな」
「そうじゃ、元々巫女と判定されるからには、神託を得ることができるのじゃから」
「神託って、ラテン語とかヘブライ語なのか?」
「ほとんどが八百万の神の言葉だから、古代日本語と言った方が良いじゃろうな。しかし、インドや他の国の精霊を介すこともあるからの。言葉の壁を超えるのも、巫女の能力と言うことじゃ。それに、言霊ことだまというのがあるように、言葉には表面と内面があるのじゃ」
「それだけ言葉にも力があるってことか」
「うむ。呪文じゅもん祝詞のりとなども声に出すことで効果が出るのはそういうことなのじゃ。まあ、声の演技にも言霊を込めるのじゃが、台詞だけでなく地の文やト書きをどれだけ読みこなせるかでその力も変わってくるしの」
「さすがは声のプロだな、超子は凄いな」
「えっへん、わらわは凄いのじゃ」
 両手を腰に当てて、思いっきりツルペタな胸を張る超子だった。
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