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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-7 家庭教師-Page38
 残された超子にはある考えが浮かんでいた。義也が落第したら、自分と同じ学年、同じクラスになれるのではないか、と。
 超子の中の天使が、彩香を子供にしたような声で言う。
『そんなのダメだよ、先輩に協力してあげなきゃ』
 別の天使が、奈菜を子供にしたような声で言う。
『センパイっていうシチュをなくしてもいいの?』
 また別の天使が、真水湖を子供にしたような声で言う。
『いい子にしていれば、きっと好きになってくれると思いますよ』
 超子の中にも天使しかいなかった。
「よし、義也の言うとおりにするぞ」
 語尾を上げて、超子は天使たちに宣言した。
 義也の勉強を邪魔しないよう、今日はこの部屋に一日中いようと決めた超子だった。
 
 その頃義也はサラの部屋をノックしていた。
 はーい、という声がしてドアが開くと、タイトミニスカートのスーツ姿でサラが出て来た。
「どうしたんだ? その格好」
「形から入ってみたの、先生っぽいでしょ?」
「そ、そうか。まあ、よろしくな、サラ」
「うん。じゃ、入って」
 部屋に入ると、どこから持って来たのかホワイトボードまで用意されていた。
 本格的に教えてもらえるらしい。
「じゃ、時間がないから早速始めるね、歴史は太古から五世紀くらいまでがテスト範囲だよ。重点ポイントとしては、何と言っても卑弥呼だけど、出エジプトとか、仏教成立とキリスト教成立は押さえておかないとだね」
「お、おう」
 一般の高校では世界史と日本史に分けられる歴史だが、巫女子学園ではひとつにまとめてあり、これは一緒にすることで、世界と日本が同時期にどうだったかを理解させることが目的であった。
 例えばキリスト教を見ると、紀元前四年頃にナザレのイエスが生まれ、西暦二十八年頃にゴルゴダの丘で磔刑たっけいとなるのだが、キリスト教成立はそのずっと後になり、聖書の完成まで二百年以上かかり、ローマの国教となって広まるのは四世紀前半のこととなる。一方日本はというと、三世紀中頃に卑弥呼が邪馬台国で倭国の王だったとされているのだ。
 歴史は一般高校と違う内容のはずもなく、それほど苦労せずに勉強を進められた。少し違っていることもあったのだが。
「だから、邪馬台国の卑弥呼というのは人名じゃなくて、地位のことだったんだよ」
「だったら、あれか、大統領が姫巫女さまって呼ばれてるのもそれなのか」
「そうそう、巫女の頂点に立つお方を姫巫女さまって呼ぶの」
 邪馬台国ではなくやわつ国であり、卑弥呼ではなく姫巫女だったといった具合である。
 予め決められていた通り、一時間の勉強が終わると、三十分の定着とやらが始まった。
「じゃあ、定着時間ね。義也っちは紅茶がいい? それともコーヒー?」
「ん、飲み物か? コーヒーがいいな」
「おっけ、今れるね」
 一杯分ずつドリップをするパックコーヒーだったが、インスタントとは違うレギュラーコーヒーの香りが漂ってくる。
「砂糖とかミルクって入れる人?」
「いや、いらないよ、ブラックでいい」
 サラが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、とりとめのない話をする。
「なあ、カウボーイってどうやってコーヒーれるか知ってるか?」
「知らなぁい」
「コーヒー豆をバンダナとかでくるんで岩とかで砕いてさ、ポットに入れてぐつぐつ煮るんだよ、濃いのが好まれたらしいよ」
「へぇ、何か荒っぽいね」
「カウボーイだからな」
 同じ『いれる』でも、お湯によって抽出するのを『淹れる』と書き、煮出す方は『煎れる』と書く。ドリップ式コーヒーは淹れるもので、パーコレーターやカウボーイの方は煎れるものなのだ。インスタントは入れる、だろうか。
「義也っちってさ、どこで産まれたの?」
「普通に産院だけど?」
 ツッコミを期待して言った義也だったが、サラは勘違いをした。
「山陰かぁ、出雲大社とかあるよね」
「え? その山陰じゃなくて、産婦人科の方な。これでも江戸っ子だよ」
 そんな話をするうちに二十分が経った。
「もう時間だね、では、五分だけ復習テストします」
 先生口調になるサラだった。
「あ、はい」
 問題が終わると、じゃ次はアイアイんとこだからと送り出された。
 教科書を取り替えに自室に戻る。
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