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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-8 強度七-Page50
 急いで搭乗すると、操縦席から声がかかった。
「みなさんお揃いですね、では発進します」
「ちょっと待てぇい!」
「なんでしょうか、義也殿」
「お前は国防軍パイロットか?」
「いいえ、巫女です。神衛隊隊長です」
「ならばそこで何をしている」
「見ての通り輸送ヘリの操縦ですが、何か」
「パイロットの人はどうした」
「急な腹痛とやらで、トイレに行かれました」
「そうか、なら仕方ないな、俺が降りるか、お前が降りるかだ」
『俺が』の『お』で八鳥美歌はスロットルを全開にしたため、義也の言葉はエンジン音にかき消された。
「くっ、思ったよりじゃじゃ馬ですね、ええぃ、ちゃんと飛べ、この!」
 自分の乗ったヘリの操縦をしている人からは言って欲しくない言葉がどんどん聞こえてきた。とはいえ既に上空なので止めようもない。
 ヘリが無事に着くようにと、義也はこれまでの人生で最も強く神に祈り続けた。
 その十数分後、輸送ヘリは大井埠頭に着陸した。あるいは不時着とも言う。
 目の前にイージス艦みょうこうが停泊していた。
 まだ足下がぐらぐら揺れているように感じるが、もう大丈夫なんだ、ここは地上なんだと、六人は輸送ヘリから降り立つとひしと抱き合った。
「警告音が耳に残って、震えが止まりません」
 怯えた声のマリアである。
「俺もだ。あれはトラウマになる音だな」
「びぃびぃ、だけじゃ、なくて、うぉんうぉん、鳴りだし、た時は、死んだ、と思た、よぉ」
「二種類同時は誰だってビビルよ、サラ、俺たちは助かったんだ、生きてるんだ!」
 実際、彼らが生きていることは奇跡だった。
 イージス艦では当然ながら輸送ヘリをレーダーでフォローしていたのだが、後にこのデータを分析した国防省は、少なくとも三度、神の奇跡としか思えない力が働いたと分析している。ただし、レーダーから消えていた三分間については除く、ともある。
 ちなみに学園のグラウンドから大井埠頭まで、直線で七キロ程度しかないのを忘れてはならない。普通なら数分で着く距離なのだ。
「さて、次の獲物はこいつですか」
 何事もなかったかのように、美歌はイージス艦を見上げながら言い放った。
「八鳥美歌、まさかとは思うが、イージス艦には乗るなよ」
「いえ、操船するよう命令を受けています」
「よし、分かった。神の名において命じる、お前はここを動くな」
『お前は』の『お』のところで、八鳥美歌は消えていた。
 義也たちがイージス艦に乗り込むと、艦長までが出迎えてくれ、作戦司令室に案内された。ソナーがピンとかレーダーがぐるぐるとかはない。どれもパソコンモニターと変わりなく、義也は少しがっかりした。
 艦長が発進を指示すると、操舵室から『はっ、かしこまりました。出航します、くっ、なぜそっちへ』という声が返ってきた。スピーカーから流れるその声に、義也たちの背筋に冷たい物が流れた。
 イージス艦の乗組員は、他の船が出られないような嵐の日であっても、有事であれば出港を余儀なくされる。その屈強な海の男たちが船酔いでダウンしていた。
 人間が不快に感じるであろう、ありとあらゆる揺れや振動が試されていたからだ。海は穏やかで、年に何回あるかというくらいの快適な水面において、である。
 幸い、義也たち六人だけは祝福と神の加護により、船酔いこそしていなかったものの、これでもかという苦痛もまた終わりを見せない。
「ヤツを止めに行く!」
「てか、殺るしかないよ!」
「きっと神もお許しになります」
 などと物騒なことを言い出す巫女たちだった。
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