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Update 2015-02-28

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俺と巫女と和の神




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俺と巫女と和の神-8 強度七-Page53
 甲板から海を見ると、前方数キロの海面が異様に盛り上がっている。ゴムのシートの下からボールを押し当てたような、海に丘ができていた。重力が乱れているためだろうか、高さは二百メートルはありそうだ。あれが流れ出したら大津波になり、江戸湾だけでなく、相模湾周辺にも甚大な被害をもたらすに違いない。強度七の起こす津波を想定していたが、予想に反して覚醒前の実体を持たない状態でも大惨事となりかねなかった。
 海を見ていると、空母からキリシタンズが飛んできた。
「私たちに~も、祝福をくださ~い」
 ぎょっとするマリアたち。
「いーこいーこ、なでな~でしてく~ださい」
 あ、そっちかと胸をなで下ろすマリアたち。
 分かったと言うと、キリシタンズは義也の前に横一列に並んで跪き十字を切ると、手を胸の前で結び、頭を少し下げて待った。義也は五人を順に祝福した。
 すぐに魔力が溢れてくるのが分かる。
「よし、みんな、ムリはするなよ。とにかく被害を防ぐことを第一に考えてくれ。攻撃より守りで行くからな!」
 全員の「はい!」という声。イザベルだけ「アイ・サー」と言ったのは、船の上だからだろう。
 義也が飛び上がると、みんなもそれに続く。義也を中心に、渡り鳥のように巫女たちはくの字体形になって飛んだ。
 ――しまった、最初から飛んで来ればよかった!
 今になって気づく義也だった。
 輸送ヘリかオスプレイか、イージス艦か空母か、どちらに乗るかを考えていて、飛ぶことをすっかり忘れていたのである。
 ともあれ、状況を掴まなくてはいけない。
 腕っぷしより頭で勝てというのが龍馬流なのだ。だからまず、高度を取って観察することにした。真上から見下ろすが、中心はずっと深いところである。
 理屈は分からないが、実体化前の悪鬼が何らかの異常現象を起こしているための海面の盛り上がりなのは確かで、単に悪鬼を消し去ったとしても海水は流れ出し、津波が起きることは避けられないだろう。
「水が邪魔じゃな」
「あの盛り上がってる部分を切り取ってどこかに捨てられませんかね」
「だね、あれが崩れたり流れたりしたら大変だし」
 超子、マリア、アンナである。
「水属性で移動ってできるのか?」
 義也の問いに答えたのはディナ・プレゲスバウアーだった。
「重さもあるから、難しいでしょうね」
「じゃあ、火属性で水蒸気にして、風属性で飛ばすってのは?」
「それ~ならでき~ます」「それな~らできま~す」「それなら~できます~」
 ミリアム・ラッツァリーニ、イザベル・アンダーソン、イヴ・ル・ヴェリエの三人が同時に答えたが、延ばすところが違うのでユニゾンにはならなかった。
「じゃあ、火と風はそれで頼む。水属性の者は流れ出したりしないようにしてくれ」
 その義也の指示への応えは少し気の抜けるものだった。
「ほな、やりまっか」
 ハンナ・バチェリコヴァの声を合図に、作戦が遂行された。
 祝福を受けている彼女たちの力は凄まじかった。海からはもうもうと水蒸気が立ち上り、風でそれを太平洋上へ飛ばす。
 見る間に一メートル、また一メートルと水かさが減っていく。
 それだけ本体にも近づいているということだ。
「既に半分くらいか、凄まじいものだな」
「八鳥美歌も凄いんだな、この力を見ると先輩なんだなって思うよ」
「うむ、あやつは腕っこきで隊長になったのだからな、キスの祝福も絶大な効果のようじゃが」
 その瞬間に空気が変わった。
 なんで言うんだーという目で超子を見る巫女たちと、キスってなんで~すかという眼差しで超子を見るキリシタンズである。
 あろうことか、キリシタンズに問われると、超子はあっさり全部説明してしまった。
 当然の如く、第三段階を要求するキリシタンズたち。
 義也は第二段階を踏まずにやっていいものか悩んでいた。
 義也の中の天使が言う。
『必要かどうか分からないけど、第二段階をした方がいいと思うよ』
 別の天使が言う。
『マリアたちと同じにするには、第二段階もすべきだよ』
 また別の天使が言う。
『外国産のおっぱいを見るチャンスじゃん』
 またまた別の天使が言う。
『え? 超子ちゃんと美歌りんにはキスしてるし』
 そう言った途端、他の三天使に睨みつけられる最後の天使。天使だって見たいものは見たいのである。なるほど既に第二段階を飛ばしているのだから、第三段階だけでも問題ないと義也は考えた。
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